研究課題/領域番号 |
26463262
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
清野 純子 帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (80549973)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | レジリエンス / コーチング / 看護師 |
研究実績の概要 |
臨床の場で働く看護師は、人間の生命にかかわるという職業特有のストレスフルな状況を経験し、加えて、高度な医療に対応していくことや経験の浅い看護師を育成するなどその役割は多岐にわたる。そこで、本研究の目的は、看護師特有の思考や行動(ビリーフ)の変容および困難な状況を乗り越えるための能力・スキルとしてレジリエンスを高めるために、認知行動コーチングを導入し、効果的な教育支援を展開することであった。 本年度においては、新人看護師を指導する看護師および副看護師長を対象にコーチングとその活用法についての研修会を2病院に実施した。2病院ともコーチングとはどのようなものであるか、コーチングの目標とするものは何かということや、コーチングに必要な基本的なスキルとして、質問するスキル、聞くスキル、(人を)動かすスキルについて講義を行った。加えて、問題解決に向けGROW(Goal:目標、Reality:現在の状況の確認、Options:行動案、What, When, Who, Will:「何」「いつ」「だれが」「実行する意思」)を用い質問練習を行った。短時間で一回のみの研修であったため、研修については、知識としての学習にはつながっていたが、研修の効果としてどのような効果があったかは検討できなかった。しかし、研修での学びを今後に実践してみたいかとの問いには、「1:全く思わない」~「10:とても強く思う」の10段階評定では、平均8.3を示していた。また、どの程度実践できそうか(自信度)との問いには、「1:全くやれそうにない」~「10:とても強くやれそうだと思う」の10段階評定では、平均6.3であった。自信度は10段階で8以下となっており、一度の研修ではすぐに実践するのは難しいという記述が得られていることから実践と研修を繰り返すあるいは研修後のフォローの必要性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H28年度においては、コーチングついての研修会は実施できたが、2病院とも短時間で1回のみの研修であり、その研修そのものの効果検証までには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
H29年においては、看護師経験4~9年目の看護師を対象に全3回の研修会を行うが、その中の1つに認知行動コーチングとしてアサーティブネス(適切な状況では、愛情深い行動表現や好意的なコミュニケーション手段)に関する研修会を実施する予定である。その研修会前後でのレジリエンスの変化を捉え、また、継続して実践の有無やその効果について調査を行い、教育効果を検証したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
認知行動コーチングの教育効果についての検証が行えていないため、本年度は研修の効果を継続して調査を行うため、調査費および印刷費が必要となった。加えて、実施したことを学会に発表することやこれまでの研究成果をまとめるために助成金が必要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度では、臨床の場で看護師教育およびリーダーの役割を担う看護師を対象とし、認知コーチングについての研修会を行う予定である。そのため、その前後および研修6ヶ月後に調査を行い、教育効果について検証をするための調査費用が必要である。さらに学会発表を行ない、成果をまとめるための費用が必要である。
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