研究課題/領域番号 |
26463274
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
駒形 朋子 (阿部朋子) 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員研究員 (70361368)
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研究分担者 |
佐藤 奈保 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (10291577)
山本 あい子 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 教授 (80182608)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 災害看護 / 母子保健 / 子育て支援 / 多職種連携 |
研究実績の概要 |
平成28年度には、7月、9月、12月、1月および3月に現地での調査活動を実施した。まず7月に看護・園芸の共同研究者・協力者が陸前高田市役所民生部子ども子育て課および地域子育て支援センターの保育士らと今年度の調査実施に向けた打ち合わせを行い、引き続き協力への了承を得たうえで9月に母親4名、12月に小児科医師1名と市役所保健師2名、1月に発災当時陸前高田市で活動したNPOスタッフ1名にそれぞれ半構造的インタビューを実施したほか、現地訪問の都度、市役所の担当職員や地域子育て支援センター保育士より子育てに関する情報収集を行った。調査の際には、調査対象となる母親や保育士からの要望を取り入れながら、園芸療法の専門家によるフラワーアレンジメント等のイベント、および看護の研究者による育児相談や母親の健康相談を合わせて実施した。 インタビューの音声データはすべてテキスト化し、質的・記述的に分析を行った。対象とした母親4名は20代後半から30代前半の4名で、1名は隣市、3名は陸前高田市出身であり、全員が出産前に震災を経験していた。4名とも「小児の医療資源が少ない」「夜間や休日対応できる医療施設が遠いことへの不安」は抽出されたが、実際に大きな困難に直面したことはなかった。また、市内全域で復旧工事が継続的に行われていることから「(工事での土埃等の)粉塵による子どもの身体や生活環境への影響に対する不安」「(大型車両の往来の多さから)子どもの通学路や安全に遊べる場所が確保できないことへの不安」が挙げられた。専門職へのインタビューから、子どもの呼吸器疾患や交通事故の増加等は見られていないことがわかっている。 母親の抱える困難は、震災からの時間の経過とともに変化しており、震災から6年後となった現在では、現状では大きな困難に直面していなくても将来への不安がより強くなっていることが明らかとなった。
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