本研究の目的は、急性期病院の一般病棟の入院患者に提供される組織的看護サービスの標準成果指標を開発することにある。平成30年度は、平成29年度に調査した「急性期病院における一般病棟入院患者の実態」を日本看護学会学術集会(看護管理)で報告した。標準となる入院状況を把握し、看護サービスの成果指標を検討した。 調査は、全国の急性期病院997施設を対象に実施し、回答のあった施設は、北海道・東北42施設(18.9%)関東86施設(25.4%)中部65施設(19.2%)近畿65施設(19.2%)、中国・四国28施設(8.2%)九州・沖縄31施設(9.1%)であった。入院の状況について、「よくある・時々ある」の「入院多群」は、多い順に、①認知機能が低下している(99.4%)②退院調整が必要である(99.1%)③ひとりで内服できない(98.2%)④糖尿病を合併している(96.4%)⑤自宅に退院できない(95.9%)⑥せん妄を引き起こす(94.7%)⑦転倒のインシデントがある(94.1%)⑧栄養改善が必要である(92.3%)⑨口腔ケアが必要である(88.2%)⑩入院中にADLが低下する(85.8%)⑪身体拘束を行う(84.9%⑫退院先の希望が患者と家族で異なる(66.9%)⑬誤嚥性肺炎を起こす(59.5%)であった。 以上①~⑬に関して、患者の状態および看護のアプローチの視点で統廃合し、①認知症患者の治癒過程を支援する、②転倒を予防する、③栄養の改善を支援する、④誤嚥性肺炎を予防する、⑤高齢患者のADLの低下を予防する、⑥褥瘡を予防するの6つの支援に関して、「看護サービスの実践内容」と「提供する看護サービスに必要な学習内容」「看護サービスによる患者のアウトカム」「提供した看護サービスによる財務のアウトカム」の4点で成果指標を作成した。
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