最終年度は、研究期間に実施した研修を評価し、看護管理実践を支援するツールとして高齢者ケアチームのリーダーを対象とした相互支援型の研修プログラムと教材を作成することであった。研修プログラムと教材は、日常倫理に関する基本的知識と現状で生じている倫理的問題、問題解決のための管理実践を説明する第1部と参加者自身の体験を基にしたグループワークの第2部で構成された。研究期間中に実施したのは合計6研修で、複数の高齢者ケア施設の看護・介護リーダーが合同の研修が2件、現役の看護師を対象にした研修が1件、養型病床を有する施設での研修が1件、複数の高齢者ケア施設の看護師を対象とした研修が1件、認定看護師養成課程の授業が1件であった。研修の延べ参加人数は145名で、うち同意があった143名の調査票でプログラムの評価を行った。本研修の内容が今後のあなたが行う高齢者ケアに役立つと思うかに「役立つ」と回答した人は、137名(95.8%)で、今後、あなたが組織やケアチームでリーダーシップを発揮していく上で役立つかには、130名(91.8%)が「役立つ」と回答していた。自由記載欄から抽出された効果は、「日常ケアに役立つ知識が得られた」、「日頃のケアの振り返りになった」、「倫理観の大切さが再認識できた」、「倫理的な問題をチームの問題として解決する方法が学べた」、などであった。研修の方法に関しては、「グループワークの時間が不足」、「他の施設のリーダーと課題を共有でき有意義」「他の施設の改善例が今後のリーダー業務の参考になった」、「他の施設のリーダーの話し合いの進め方が参考になった」などであった。開発した研修プログラムは日常倫理の問題に気づき管理的視点でのアセスメントすること、また、多職種や多機関、他部署のリーダーのグループワークは、リーダーとしてのモチベーション維持効果があったことが示唆された。
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