平成27年度より引き続き、山梨県内で僻地医療を行っている中小規模病院の2施設を中心に感染管理システムを構築すべく、感染対策チーム活動に参加し、継続的にアクションリサーチを実施した。その結果、2施設とも職員の感染対策に対する意識は高まり、感染対策活動に関して積極的な職員の協力が得られるようになった。しかし、日々変化する医療業務の中、適切な感染対策を実践し対応できるようになるためには、各職員が個人持ちできる具体的で詳細な感染対策マニュアルが必要不可欠であった。そのため、感染対策チームメンバーや研究協力者の協力の下、それぞれの施設にあった独自の感染対策マニュアルを作成し、その効果を検証した。これまでのマニュアルは、部署単位の共有のものであったため各職員が個人では持てず、活用が不十分であったが、今回の研究課題で作成したマニュアルは各職員が自由に活用でき、職員の意欲向上につながることができた。しかし、両施設とも専従看護師がいないため感染防止対策加算が得られておらず、費用面での困窮が認められた。 一方、奈良県内の僻地医療を支援している中規模病院2施設の調査では、感染防止活動に携わっている看護師へ半構成的面接を実施し、病院の感染対策の現状を明らかにすることができた。協力が得られた2施設は既に感染防止対策加算1を取得しており、それぞれ感染防止対策加算2を取得した1施設と連携し、専従の看護師が感染対策に携わっていた。僻地診療を支援している中規模病院では、自施設での感染対策の課題を抱えながら、加算2取得病院との連携に加え、地域内の医療機関や介護施設への支援に取り組んでいたが、その支援は十分に活用されていない現状にあることが推察された。また、介護施設への感染対策の支援では、病院の看護師が介護施設の現状を把握しておく必要があることから、施設間での情報共有の必要性が示唆された。
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