研究課題/領域番号 |
26463288
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
白鳥 さつき 愛知医科大学, 看護学部, 教授 (20291859)
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研究分担者 |
大石 ふみ子 愛知医科大学, 看護学部, 教授 (10276876)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 職業被ばく / 医療被ばく / 看護職者 / 看護管理者 / 放射線に関する教育 / 放射線被ばくのリスク / 防護具 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、放射線診断や治療に携わる看護職者及び看護管理者の防護行動や知識について実態を明らかにすることを目的とした調査を実施した。調査方法は、全国の病院から層化抽出法と無作為抽出法にて200~400床未満の436施設、400床以上の施設384施設を選出した。これらの施設に看護管理者1880部、看護職者2820部、計4700部を郵送した。 結果、看護管理者からは523部(回収27.9%)、スタッフからは851部(回収率30.2%)の回答があった。回答のあった施設の概要は、特定機能病院228部、高度急性期病院137部、急性期病院922部、回復期病床37部であった。これまで放射線に関する教育について「受けたことがある」と回答したのは「職業被ばく」は全体の70%、「医療被ばく」は50%であった。放射線に関する教育についての満足度は「満足している」は26.1%という低い結果であった。所属施設で実施している放射線治療は外部照射が最も多く67%で、密封小線源治療は10%、陽子線治療3.1%、重粒子線治療は0.5%であった。放射線診断や治療に携わる形態は、専属が46.1%、ローテーションが31%で、そのほかは病棟からのリリーフなどであった。治療や診断に関わる際の防護策について「必ず装着する」は防護具で84%、ネックガードは13.5%、衝立は33.7%であった。緊急でIVRを実施する際の防護具は「緊急でも完全である」と回答したのは47.6%、「時々一部の着用を省」くが30.6%、「頻繁に着用を省く」が2.9%存在した。職業被ばくに関する考えを5件法で回答を求めた結果、看護職者が「職業被ばくによって、健康障害を生ずるリスクが高い」の平均値が3.36±SD1.14(最高5点)」に対し、管理者は「部下が職業被ばくによって健康リスクが高いと感じている」は平均値が3.04±SD1.10と乖離があった。今後、施設別、教育背景別などに分析を進め、効果的な教育研修の企画・実施・評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全国調査の準備が手間取ったため、調査の実施が半年遅れた。そのため、結果の分析が遅れている。また、放射線診断に携わる看護職者へのインタビューについては、調査に関する倫理審査を進めている段階である。 これらの結果を踏まえて放射線(職業被ばく)に関する教育研修を企画し、実施・評価を平成28年度内に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
全国の質問紙調査の分析をさらに詳細に行う予定。同時に、放射線診断に携わる看護職者へのインタビューを実施予定(倫理審査申請中)。 これらの結果から教育研修を企画する。教育研修は、放射線診断部の医師、がん放射線療法看護認定看護師、がん看護専門看護師を講師として招く。研修成果については受講生よりアンケート調査を実施し、評価する。その評価を踏まえて複数回実施する予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
全国調査の準備に時間がかかり、調査が遅れた。その後の放射線診療に携わる看護職者へのインタビューが平成28年度になった。 これらの結果を踏まえて看護職者対象の教育研修を企画するため、教育研修の実施は平成28年度となった。
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次年度使用額の使用計画 |
①放射線診療に携わる看護職者へのインタビュー(半構成的面接法による)3~6人程度。 インタビュー協力者への謝金および交通費、宿泊費が必要となる。 ②調査結果を踏まえて看護職者を対象とした職業被ばくを予防するための研修会の規格、実施、評価を行う。会場費、講師謝金、講師交通費、宿泊費、資料の費用が必要となる。教育研修は、複数回実施予定。③職業被ばくに関連して、看護管理者が実施している労働安全衛生について補足調査を実施する予定(東海地方)
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