本研究の目的は、看護師の自分を育てる力(以下、自分磨き)に着目し、看護師がどのように自分を磨き育てているのかについて質問調査票による実態調査を行い、自分磨きの極意や伝授法を検討することである。 質問調査項目は、自分磨きに関わる内的な諸要因を検討した結果、自分磨きを自己教育力と捉え、自己教育力の高まりには自己効力感や心理的自立が関係しているのではないかという考えに至り、自己教育力尺度、特性的自己効力感尺度、心理的自立尺度を採用した。質問調査は、研究同意の得られた病院の看護師250名を対象として行った。研究協力者からの同意は、質問調査票の返信をもって得られたものとし、114部を回収した(回収率45.6%)。統計処理はSPSS 22.OJ for Windowsを用いて行った。 分析は、経験年数別による自己教育力、自己効力感、心理的自立の相違を明らかにするために、一元配置分散分析を行った。また、自己教育力、自己効力感、心理的自立の相互関係を明らかにするために、重回帰分析を行った。経験年数は4群に分け、4年未満、4年以上7年未満、7年以上10年未満、10年以上とした。 結果は、4群の経験年数間に有意な差はなかった。しかしながら、自己教育力、自己効力感、心理的自立の相互関係は有意な正の値を示した。4群の経験年数別では、経験年数10年以上の自己教育力、自己効力感、心理的自立の相互関係で有意な正の値を示した。そこで、それぞれの経験年数10年以上の下位尺度得点平均値をみてみると、成長・発達への志向、自己の対象化と統制、価値判断・実行、適切な対人関係は高い値を示していた。 以上のことより、看護師の自分磨きの極意には、成長・発達への志向、自己の対象化と統制、価値判断・実行、適切な対人関係が影響していることがわかった。これらを教育プログラムに反映させ伝授することにより、看護師の専門性が高まる可能性が示唆された。
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