研究課題/領域番号 |
26463296
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
穴沢 小百合 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (80469981)
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研究分担者 |
松山 友子 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (30469978)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 看護管理 |
研究実績の概要 |
本研究は看護管理ラウンドの実践モデル案の作成を最終目標とし、「看護管理ラウンドに関する実態調査」と「看護管理ラウンドの実践過程―「ラウンド会議」を導入したアクションリサーチを通して―」の2つのテーマに取り組んでいる。今年度の具体的な取り組みは以下の2点である。 1.看護管理ラウンドに関する実態調査:副看護部長が行う看護管理ラウンドの実態を明らかにし、実践方法および内容に関する特徴と課題を検討することを目的として調査用紙を作成し、全国の400床以上を有する病院の副看護部長を対象に実態調査を行った。調査項目は、Ⅰ.対象者の背景5項目、Ⅱ.施設の概要4項目、Ⅲ.ラウンドの方法11項目、Ⅳ.ラウンドの内容70項目およびⅤ.ラウンドに関する課題、Ⅵ.ラウンドについての意見であり、Ⅰ~Ⅳの回答は選択式とし、Ⅴ・Ⅵの回答は記述式とした。調査期間は平成26年8月~10月であり、対象783施設に調査用紙を郵送し、回収数は307票(回収率は39.2%)であった。このうち、有効回答は305票(有効回答率99.3%)であり、この305票について分析を進めている。記述統計、自由記載の質的分析はほぼ終了している。 2.看護管理ラウンドの実践過程―「ラウンド会議」を導入したアクションリサーチを通して―:研究計画書を作成し、東京医療保健大学ヒトに関する研究倫理委員会、研究フィールドの倫理委員会に書類を提出し承認を得た。 3.今後の予定と課題:今後は、看護管理ラウンドに関する実態調査についてさらに分析を進めて整理し、学会で報告する。看護管理ラウンドの実践過程については、研究フィールドのラウンドの現状を確認した後、平成27年度に研究計画に沿ってデータ収集を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の目標は、わが国における看護管理ラウンドの実態を明らかにすることである。具体的には、「400床以上を有する全国の病院に所属する副看護部長を対象として、質問紙調査によりラウンドの実態を明らかにし、結果から看護管理ラウンドの実践方法の特徴と課題を検討する」としている。調査は対象者は400床以上の病院に所属する副看護部長(以下、副部長)とし、平成26年8月~12月の期間にデータ収集を行った。調査用紙を783票配付し、307票を回収(回収率39.2%)、有効回答は305票であった。この305票について分析を進めている。記述統計、自由記載の質的分析はほぼ終了し、結果の一部については看護系の学会での発表を予定し、演題登録をしているところである。 平成27年度の目標は、看護管理に貢献するラウンドの実践過程とその特徴を明らかにすることである。具体的には、「対象2施設におけるラウンドの実践方法を確認した上で、定期的にラウンド会議を実施し、ラウンドの実践過程を明らかにする。また、5回のラウンド会議終了後に看護師長からみた副看護部長のラウンドの変化を明らかにする。これらの結果から、看護管理に貢献するラウンドの実践過程の特徴を検討する。」としている。平成27年5月現在、研究者所属機関の倫理委員会、研究フィールド2施設の倫理委員会の承認が得られ、研究説明会を開催して、研究参加者から同意を得た。また、対象施設の看護管理ラウンドの現状について整理し、「ラウンド会議」開催の準備を進めている。 以上の経過は、交付申請書に記載した目的、目標、方法にほぼ沿って進められており、研究目的の達成度は、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
看護管理ラウンドに関する実態調査については、結果を整理・分析し、平成27年8月に開催される看護系の学会で発表予定である。 看護管理ラウンドの実践過程については、3月に看護管理の専門家も交えて研究担当者会議を開催し、実態調査の結果を研究者間で共通理解した上で、「ラウンド会議」の進め方についてさらに検討した。この結果を踏まえ、平成27年4月には研究フィールドでの説明会を開催し、その後、研究参加者の同意を得た。5月上旬にはラウンドの現状を確認しデータ収集できる準備を整え、5月末からデータ収集に着手する予定である。 本研究のデザインはアクションリサーチである。アクションは「ラウンド会議」(以下、「会議」)の導入および「会議」に基づく実践である。「会議」は副看護部長が有するラウンドの経験知を引き出しながら、ラウンドの分析、計画、評価をする場であり、具体的には、ラウンドの課題とその解決策、看護部の課題を踏まえたラウンドの視点、ラウンドの実践により得られた変化や成果、ラウンドの評価等について確認・検討する。「会議」の円滑化を図るため、会議前に研究者と看護部長とで事前打合せを行うと共に、「会議」の場では自由な意見が表出できる環境の提供に努める。そのため、データ収集では毎回の「ラウンド会議」の結果を整理・分析し、次の「ラウンド会議」の議題や進行を検討することを繰り返す予定である。また、本研究のエンドポイントは、看護管理に貢献するラウンドを実践するための解決策が副看護部長から提案され、実践、評価するまでと設定する。「会議」の開催は研究期間を考慮し5回を予定しているが、3回の「会議」後に分析結果を検討し、エンドポイントに達しているか確認する。4回目、5回目の「会議」開催についてはその時点で検討する予定である。データ収集にあたっては、研究参加者と十分に話し合いながら進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は以下の2点により、予定よりも支出が少なかった。①専門家会議の謝金を準備していたものの、専門家から謝金の受け取り辞退の申し出があった。②備品等については、十分な機能があるものを安価で購入できた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度の予算は190万円であり、支出は約160万円であった。次年度の予算額は110万円であり、平成26年度の約30万円と合わせ、140万円の予算である。 平成27年度は、看護管理ラウンドの実践過程について「ラウンド会議」を開催してデータ収集・分析を行うことから、データ収集を円滑に進めるための機器の購入等にあてる物品費に40万円、専門家会議の開催、書類整理等にかかる人件費・謝金等に30万円、テープ起こし等のその他の支出に40万円を予定し、平成26年度の成果の学会発表等に係る国内旅費に30万円を予定している。
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