【目的】ラウンドの実態調査およびラウンド会議(以下、「会議」)を導入したラウンドの実践過程から看護管理に貢献するラウンドの特徴を明らかにし、実践モデル案を作成する。 【方法】(1)実態調査:副看護部長(以下、副部長)を対象とし、郵送法による無記名の自記式質問紙調査を2014年に行い、記述統計およびχ2検定を実施した。(2)ラウンドの実践過程:デザインは A・B施設所属の副部長を対象としたアクションリサーチとし、ラウンドの分析・課題設定を行う「会議」を導入した。A施設は2015年5~11月に4回開催し、B施設は2015年5~9月に3回開催した。分析は質的帰納的分析とし、カテゴリ間の関連から実践過程を示すフェーズを構成した。(3)特徴群の構成:特徴は(1)では看護管理への貢献が期待できる副部長の行動、(2)では実践過程で変化・成果を導く方法や副部長の行動・態度とした。研究は倫理委員会の承認を得た。 【結果】χ2検定の結果より低い傾向の対応が有意に実施されていた(P<0.05) 「ラウンド前の視点の共有化」が特徴であった。(2)実践過程は各施設4フェーズで構成され、師長の緊張緩和、師長からのデータ提示といった成果や支援の方向性の明確化といった変化を認めた。成果・変化に基づく特徴は「意図的な情報収集」「達成期限を示した問題解決の伴走・支援」「主体性の尊重と支持的関わり」等、7項目であった。また「会議」の導入や従来からのミーティングが成果・変化に寄与しており、「ラウンド評価会議の定期的開催」「ラウンド後ミーティングの実施」を加え10項目の特徴群を構成した。 【考察】特徴群は「ラウンドの基盤」2項目、「ラウンドの展開」8項目に大別され、「ラウンドの展開」は「ミーティング」「意図的ラウンド」「『進捗管理』の推進」に大別された。ラウンドはこれらが関連し合って展開されると考えモデル案を作成した。
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