研究課題/領域番号 |
26463297
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研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
樫原 理恵 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (00570540)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | クラウド / 看護師長支援 / 中規模病院 |
研究実績の概要 |
質の高い看護実践を継続するための職場環境を調整できる看護師長を養成するプログラムを開発することを目的とし、看護師長の教育・支援体制、スタッフナースの職場環境の現状を把握し、看護部長とスタッフナースから求められる看護師長の役割を明らかにするために質問紙調査を実施した。対象は50病院(100~400床)に勤務する10年以上の臨床経験を有する看護師1,008名。有効回答は513名であった。師長昇格基準があると回答したのは298名(58%)、看護師長の支援体制があると回答したのは182名(35%)であった。看護師長の昇格基準と看護師長就任後の支援体制があると回答した看護師は、看護実践環境のサブスケール4項目(病院業務と看護、ケアの質、管理者の力量、医師との関係)が有意に高かった。看護師長には、人材育成・組織運営に活用できるコミュニケーションスキル、看護倫理観をスタッフに提言できるリーダーシップが必要とされていることが明らかとなった。 調査結果を基に、看護師長を支援するためのプログラムを策定すると同時に、プログラム公開方法を検証した。学内のe-learningシステムを活用したクラウドシステムを構築する予定であったが、学外からのアクセスが困難であることが判明した。そこで、セキュリティや情報量に見合ったプログラム提示などを考慮し業者を選定した。 プログラムは、対面プログラムとクラウドプログラムを並行することとし、看護師長教育に意欲のある看護組織に対し、介入を実施中である。介入前後の看護師実践環境、看護師長のリーダーシップスキルを比較しプログラムの妥当性および評価を実施する予定である。 看護師長らが、クラウドプログラムに積極的に参加できるよう、タブレット端末をリース契約し、希望者には研究者から貸与する体制を整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
質問紙調査により、看護師長の支援体制の実態把握と看護師長に必要なリーダーシップスキルに対し課題を見いだすことができた。看護師長に対し、サーバントリーダーシップを獲得することが有用であると考え、研究協力者らと共にプログラムを検討・策定した。看護師長支援のためには、クラウドプログラム単独の運用でなく、対面プログラムとして講義・演習を並行して介入することとした。クラウドプログラム運用にあたっては、学内環境を想定したが、学外からのアクセスに対し脆弱であることが分かり、専門業者を選定し運用することとなった。倫理的配慮について、十分に検討し、研究対象者のアクセスについて個人が特定されないように配慮することができた。 看護師長がサーバントリーダーシップを獲得できれば、看護師の看護実践環境が向上され、ひいては看護組織文化が活性化することが期待できる。研究目的に賛同の得られた100~300床の4病院に勤務する看護師長46名に対しプログラムを実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
プログラムの妥当性と評価のために、研究対象者である看護師長と看護師長が統括する看護師に対し、質問紙調査を実施する。看護師長には自身のサーバントリーダーシップスキルの獲得状況について、看護師には、看護実践環境と看護師長のサーバントリーダーシップスキル獲得状況の他己評価について、看護師自身の定着可能度についてを質問紙、プログラム実施の前後について比較し、詳細に検討することを予定している。併せて、研究対象者の中で、協力の得られた看護師長に対し、半構造的面接を実施する予定である。 クラウドプログラム上ではコミュニケーションツール、学習ツールを紹介し、アクセス状況や活用状況を分析し、より有効なクラウドプログラムを検証し構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
クラウド環境に必要な契約料とタブレット端末のリース料が2015年4月以降に発生するため。
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次年度使用額の使用計画 |
クラウド業者に対する契約料と、タブレット端末リース料として支出する。
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