研究課題
高齢・少子化が進行するわが国においては,要配慮者とその家族の防災・減災対策が重要な課題である.今回,訪問看護活動において防災・減災対策を実施した事例に関して訪問看護師にインタビューを行い,要配慮者とその家族の防災・減災における予備力強化のための訪問看護師の関わりについて検討した.訪問看護師1名に,訪問看護実践において防災・減災対策を実施した印象深い事例に関して自由に語ってもらうエピソード想起型のインタビューを行い,防災・減災における予備力の強化に向けた訪問看護師の関わりについて検討した.予備力とは「家族が災害等の危機に遭遇する前に有している危機に対応する力」とした.エピソード事例は頸髄損傷により四肢麻痺となり,人工呼吸器を装着しながら約30年間在宅療養を継続している男性であった.訪問看護師は,闘病生活とその介護という逆境に向き合う男性と家族の家族の状況によりそいながら,日々の看護や防災・減災への取り組みを続けていた.訪問看護師の信念は,実際に考えて行動するのは当事者であり,自分たちはその支援をする者だという姿勢である.さらに,日常的な働きかけこそが災害対策の要であると信じている.本エピソードより,要配慮者とその家族の防災・減災における予備力の強化には,要配慮者とその家族及び看護職にとって,身体的・心理的に大きな負担にならずに,自然に日常生活や訪問看護活動に組み込めるようなものが必要であると示唆された.
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