研究課題/領域番号 |
26463304
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
市原 多香子 香川大学, 医学部, 教授 (10274268)
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研究分担者 |
田村 綾子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (10227275)
船木 真理 徳島大学, 病院, 特任教授 (10467821)
南川 貴子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (20314883)
桑村 由美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (90284322) [辞退]
日坂 ゆかり 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (30730593)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 2型糖尿病患者 / 重症化予防 / 循環器合併症 / 患者支援 / 院内連携 |
研究実績の概要 |
2型糖尿病の重症化予防のため、患者自身が生活調整を行うことが重要である。しかし合併症を併発した場合、内分泌・代謝内科だけでなく循環器内科や脳神経外科など、受診する診療科が増加し自己管理する内容も複雑となる。そこでH28年度は、複雑な治療と複雑な自己健康管理が必要となった、合併症を併発した2型糖尿病患者を対象に糖尿病の自己管理の向き合い方について調査を行った。 入退院を繰り返す2型糖尿病患者(狭心症や心筋梗塞などの循環器系の合併症を併発)にインタビューを行い、糖尿病への向き合い方の特徴を明らかにした。質的分析の結果、「糖尿病への危機感が無い」「動機付けとなるような出来事がない限り糖尿病治療に積極的になれない」「糖尿病であるという自覚がない」「糖尿病の知識を自分の都合がいいように解釈し、行動がその場しのぎになっている」「命の危険を感じた脳梗塞の治療が、糖尿病の治療よりも優先されている」「仕事を治療継続困難や生活習慣を改善できない言い訳にする」「糖尿病の療養に関する知識が不足している」「家族との間にジレンマがあるのカテゴリーを抽出できた。糖尿病に対する危機感の低さ、治療状況が複雑になれば糖尿病の治療よりも合併症の治療を優先する患者の姿勢が明らかとなった。診療科の壁を越えた患者指導と病院内ケア連携の必要性が示唆された。
また、第28回日本循環器看護学会教育セミナーに参加し、慢性疾患を持つ患者のセルフケア支援について情報収集を行った。患者支援においては、病気の進行に伴い、病気の局面に合わせたセルフケア支援の視点を組み入れる必要性が課題として挙がった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H28年度は研究者が職場を異動したため、新しい職場において研究フィールドを開発・調整する必要性が出てきた。患者を中心とした医療機関をリンケージする患者支援モデルの構築について、研究のアプローチ方法を変更し、実施可能な内容に計画を変更した。そのため「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者は徐々に合併症を併発し、眼科・皮膚科・循環器内科・脳神経外科などの複数の診療科を受診し複雑な治療状況にある患者は少なくない。2型糖尿病患者の重症化を予防するためには、患者が行う自己管理だけでなく、診療科を超えた診療科間の連携も大切となる。2型糖尿病患者の語りの分析から、患者の自己管理だけでない問題が見えてきた。そこで、2型糖尿病患者を中心とした診療科の壁を越えた院内連携や、退院後の病院外の連携について、患者側・医療者側の問題を明らかにする調査を考えている。患者を中心にした院内・院外をリンケージする患者支援モデルを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額を使用できなかった理由として、平成28年度は研究責任者が所属機関を異動したため研究フィールドの確保がさらに難しくなり、介入研究を進めることが難しくなった。平成28年度は研究フィールドを調整することや、研究計画のアプローチ方法を変更する方向を検討する1年となったため、ホームページ維持費、協力者への謝金・交通費などの未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究フィールドの確保が難しく、当初の介入研究から調査研究に研究手法を変更することにした。平成29年度は、これまでの研究成果を報告するために費用、情報収集のための費用、分担者との打ち合わせ費用・交通費、H28年度より調査研究を始めたため、調査協力の補助者への謝金、調査の実費などの費用にあてる。
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