研究課題/領域番号 |
26463305
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
桑村 由美 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90284322)
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研究分担者 |
田村 綾子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10227275) [辞退]
澄川 真珠子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (20432312)
市原 多香子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10274268) [辞退]
南川 貴子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (20314883) [辞退]
日坂 ゆかり 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (30730593) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 糖尿病患者 / 口腔保健行動 / 看護支援 / アセスメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、糖尿病患者が自己管理行動のひとつとして口腔保健行動を実施できるように看護師が支援をする際に用いる簡便なアセスメントシート(以下、アセスメントシート)を作成することである。平成26年度の目標は、研究の基盤を作り、アセスメントシート(案)を作成することであった。 これまでの調査結果と先行文献で得られた情報をもとにアセスメントシートの草案を作成し、糖尿病患者の療養支援に関わる医師、看護師、歯科医師、歯科衛生士、管理栄養士等の多職種からなる専門家会議で検討を行った。特に臨床の看護師からは現場での実情に関する意見を得るとともに、歯周病専門歯科医師からは科学的な根拠に基づく意見を得た。このようにして 1.口腔内の状態 2.口腔への認識 3.口腔ケアの実施状況 4.歯科受診・受療行動の4つの概念からなるアセスメントシート(案)を作成した。これらの項目の妥当性の検証のために日本看護協会のホームページで所属と名前が公開されている糖尿病看護認定看護師と慢性疾患看護専門看護師700名に調査への協力を依頼した。 その結果、返信の得られた304名からはアセスメント項目のほとんどが必要と評価された。しかし、過去2週間での口腔内の状態や口腔ケアの実施状況等に関するアセスメントの実施率は低かった。自由記載の意見には「口腔のアセスメントのための時間がない、方法がわからない、道具がない」などがあった(第58回日本糖尿病学会で発表予定)。調査結果の臨床への還元を鑑み、医科歯科連携での専門家会議で得た科学的なエビデンスに基づく知見を共有しながら臨床での口腔ケアの支援に向けて臨床看護師との討議をすることを目的に、第20回日本糖尿病教育・看護学会交流集会に応募中である。また、アセスメント項目の精選に向けて、歯科医師の協力を得ながら臨床での調査を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病患者の口腔保健行動の支援に向けた簡便なアセスメントシートの作成に向けて、第一次調査としてアセスメント項目の内容妥当性の検証と実態調査が終了し、第二次調査でのデータもほぼ回収でき、現在、分析中である。分析結果から明らかになりつつある課題を見据えながら、臨床での活用が可能なアセスメントシートとなることを目指して、臨床看護師および糖尿病患者、糖尿病の主治医、歯周病や口腔衛生を専門とする歯科医師や歯科衛生士の協力を得ながら検討を続けている。以上より、平成26年度の目標である、研究の基盤を作り、アセスメントシート(案)の作成も達成でき、本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今回の調査で、看護師が口腔内の観察方法やケア方法がわからない、実施するための時間がないといった意見があった。そのため、臨床の看護師を対象に、口腔内の基本的な観察方法について一緒に考え、討議できる機会を糖尿病看護の専門家が集う学術集会で行うことを企画し、応募している。これに加え、看護学を専攻する学部学生教育に携わる立場から、学生の段階での口腔ケアに関する教育の在り方についても見直しを行って行きたいと考えている。加えて、学生への口腔ケアに関する教育指導内容や達成レベルについても教育実践を展開しながら、検討していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
多くの方々の協力により研究が順調に進んだ。調査の継続協力者も当初の見込みをはるかに上回り、多くの謝礼を準備することになった。しかし、今回の調査協力をきっかけに少しでも多くの臨床の方に口腔ケアの実践に取り組んで頂きたいと考えており、口腔内を直接観察にペンライトは必需品であり、歯磨きの心地よさを看護師が実感できることも他者の支援に向けて必要であるため、当初の予定通り、ペンライト(すぐに使用できるように電池も同封)と歯ブラシは謝礼として贈った。そして、対象者の関心が口腔に向けられている時期を逃さないように第二次調査を継続して行ったため、質問紙の郵送に向けた費用が必要になった。また、最終年度に海外学会での発表を予定しており、事前に海外での実情を直に知るために研究協力者の海外出張費用が生じた。以上のことから当初予定していたデータ処理専用のパソコンの購入額に僅かに不足が生じ次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度からの繰り越し額に27年に配分予定の額を加えて、予定していたパソコンおよび、統計ソフトを購入予定である。
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