糖尿病患者は、療養の際に生じる物事の見方(療養の認知)に偏りがあり、その認知が療養の負担感に影響すること、認知変容によって感情が楽になり、療養行動の継続に繋がることが分かっている。 そこで、平成27年度に糖尿病看護に携わる看護師が日々のケアで認知行動療法を実践できる教育プログラムを作成した。教育プログラムは、理解から活用へとステップアップできるように、講義と演習、グループワークなどを織り交ぜた3回の研修会(4時間/回)と、日常の体験を通して理解を深める2回のホームワークで構成している。 平成28年度は、教育プログラムを開催し参加者の理解度をアンケートにより測定し、目標達成度評価を行うことを第1の目的とした。さらに、研修を修了した看護師が実際に臨床で研修内容を活用した状況を分析し、プログラム評価を行うことを第2の目的とした。 第1の目的である3回の研修会による参加者の目標達成度は、ほとんどの内容を理解できたという意見が多かった。今後練習は必要であるが、意識しながら日常の看護に活用していくことが可能であることが示唆された。 第2の目的である実際に糖尿病患者への関わりの場面の分析では、活用により患者のネガティブな感情が低減し、認知変容を活用する意義を実感していたことから教育プログラムの効果はあったと考える。しかし、感情や認知についてフィードバックし、掘り下げることの難しさを感じていたことから、フィードバックの具体的な方法などを組み込むなど、プログラム内容の修正が必要であることが示唆された。 なお、本研究は青森県立保健大学の倫理審査で承認されている。
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