前年度までは介護老人保健施設の看護職者を対象とし,急変事例の収集,急変対応時に困難に感じることなど,介護老人保健施設に勤務する看護職者が直面している現状について,主として面接調査法により情報を収集した。 平成28年度は,総括として,介護老人保健施設に勤務する看護職者に対する研修会で使用する事例・教材の設定,および研修会を開催した。 これまでの調査から,利用者の急変には心肺機能停止,急性冠症候群,脳血管障害,発熱(何らかの感染症)などがあることが明らかになった。このため,教育プログラムの中に一次救命処置を盛り込んだ。さらに,胸痛を訴える患者,意識レベルの低下した患者の急変シナリオを作成することとした。 使用教材について,一次救命処置では反復練習が必要とされることから,自学自習が可能な簡易版のマネキン,急変シナリオでは,利用者の状態を反映する高度再現度シミュレータを使用しすることとした。また,指導者については,常に患者の急変に対応している,救急看護認定看護師,集中ケア認定看護師に依頼し,教育内容の質を確保した。 研修会の運営にあたり,学習意欲を高めるためのARCSモデルを活用した。開発プログラムは,介護老人保健施設の看護職者14施設17名に対して実施した。 教育プログラムの実施後,受講者に対し,質問紙法により学んだこと,およびARCSモデルに基づいた教育プログラムの評価を調査した。その結果,受講者の満足度は平均90%を得ることができた。
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