研究課題
今年度は、2つの調査を行った。①平成30年3月に「ICU看護師の臨床判断能力を育成するシミュレーション教育プログラムによる研修」を追加実施した。研修を受講した研究対象者5名に対し、研修3か月後のアンケートを6月に実施した。調査内容は、研修後からの看護実践における思考と行動の変化に関する内容であった。追加した対象者5名のうち、3名は研修後3か月間にシミュレーションで学習したIABP装着中の患者への看護の機会がなかったため、残る2名が研究対象となった。1名はシミュレーションを行ったことでIABP装着中の患者への対応に対する困難感が減り、「対応がスムーズにできるようになった」「IABPに対する恐怖心も減っていると実感した」との記述が得られた。もう1名は、困難感に変化はないと回答したものの、思考と行動の両面で変化があったと回答した。「アラームの原因などに対して深く考えるようになった」「アラームが鳴動しても躊躇せずすぐ対応できるようになった」などの記述が得られた。②ICU看護師の臨床判断能力を育成するシミュレーション教育プログラムによる研修を実施したファシリテーター3名を対象にグループインタビューを行った。ファシリテーターとしてシミュレーション教育を行う際に、留意したこと、難しかったこと、必要と考える能力など、ファシリテーターを実施して感じたり思ったりしたことを語ってもらった。語りの内容から、ファシリテーターは、シミュレーション教育の知識を基盤として、シミュレーションやデブリーフィングなどの過程で生じる受講者の反応に応じて、目標を達成できるようにファシリテーター自身の言動を変化させる重要性が語られた。①の結果は、平成27年度に実施した研修のデータと合わせてプログラムの評価を行う。②の結果は、シミュレーション教育を実施するファシリテーター育成のための基礎資料とする。