本研究は、経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention 以下PCIと略す)を受けた虚血性心疾患患者のセルフマネジメントには、病気に対するリスク認識が影響を与えるという視点に立ち、虚血性心疾患患者のセルフマネジメントを促す患者教育プログラムの検討を行うことを目指している。文献検討より、疾患の管理は生活と密接に関連しているため、病気の意味や経験がセルフマネジメント行動に影響を与えること、更には病いについて患者が主観的な体験を語ることの重要性と、語りによって患者が主観的かつ客観的に自分の生活を振り返ることとなるため、語る体験そのものが行動変容につながる可能性が示唆された。そこで、PCI後の虚血性心疾患患者を対象に、病気にまつわる体験とセルフマネジメント行動の実際を語ってもらうことで、虚血性心疾患患者の病気の認識について明らかにするとともに、語ること自体が患者の認識やセルフマネジメント行動にどのような影響を与えるのか検討することとした。虚血性心疾患を発症しPCI治療後1年~6年経過し、定期的に外来通院をしている患者4名に半構成面接を実施した。更に第1回目の面接の約1か月後に再度半構成面接を実施し、病気について語った体験がその後の認識やセルフマネジメント行動にどのような影響を与えたか改めて語ってもらった。現在、得られたデータの類似性を検討しながら質的に分析を行っている最中であり、今後分析結果をもとに患者教育プログラムの修正を行っていく予定である。
|