研究課題/領域番号 |
26463326
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
三浦 英恵 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 准教授 (40588860)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 看護学 / 胸部大動脈瘤 / 外科的治療 / 回復 / 看護介入 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、前年度に引き続き胸部大動脈瘤患者の回復過程を評価する評価票の検討および回復促進看護支援プログラムの内容、実施時期について検討を行った。 患者にとって一番の問題として捉えられている身体症状については、治療形態(外科的治療、ステントグラフト内挿術、ハイブリッド手術)を考慮して汎用性のある評価ができるように、項目を精選した。これらの身体症状に対する対処として、先行研究から「内的帰属」(自分に原因があるなど)の傾向もみられ、自己対処や自分なりの意味づけて解決しようとしており、誤った療養や緊急時の受診の遅れにもつながると考えられた。その為、評価票には身体症状とその対処も項目として入れ、単なる身体の苦痛を捉えるだけではなく、療養上の指導につなげるようにすることで評価票そのものから支援が導き出せる構成を検討した。 回復促進看護支援プログラムの構成は、退院後の支援を中心に外来での実施を検討していたが、文献検討と先行研究を踏まえ、退院前に「回復の見通しを示す」支援を入れることとした。この支援は、準備的感覚情報提供(preparatory sensory information)として重要な看護介入の一つであり、回復促進につながるkey careとして位置づけ、この支援の有無によってQOLを評価することとした。また、QOLは病気認知に影響を受けることが先行研究から示唆されており、退院前に対象者の病気認知を質問紙で捉え、個別的なケアに繋げられるようなプログラム構成を導き出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
回復過程を査定する評価票の検討が遅れているのに伴い、回復促進看護支援プログラムの内容と支援時期の検討も遅れており、当初の計画から全体的に進行が遅れている。先行研究から得られた結果をもとに、評価項目を明確化し全人的な視点から回復が評価できるか、患者の生活に即した回復状況が査定できるかどうかの汎用性の検討が重要となり、平成26年度から評価票の検討に時間を費やす必要性が生じた結果、平成27年度の計画も順次先送りになる形となった。
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今後の研究の推進方策 |
胸部大動脈瘤に対する低侵襲治療が発展し、治療成績も安定、向上しつつあり、症例数も増加している。当初は純粋な外科的治療後のプログラムを検討してたが、ステントグラフト内挿術やハイブリッド手術の症例も増えており、治療や患者に関する情報を広く収集し、回復促進看護支援プログラムの汎用性を高める努力が必要である。従って、対象施設の看護師、医師等の研究協力者の人数を増やせるように、協力依頼を強化するとともに、他施設での実施、協力依頼を検討する。それでも対象者数の確保が難しい場合は、ホームページでの協力依頼をする工夫や、学会等での交流や情報発信により、研究ネットワークを広げる努力をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の計画であった全人的な視点からの回復を評価できる質問紙の評価項目の検討作業の遅れに伴い、平成27年度も研究計画全体が順次遅れる結果となり、そのため経費の使用についても当初の計画通りできず繰り越し金が生じた。評価票の検討の遅れについては、医師、看護師の医療者からの評価項目の内容と構成、適切性の審議を行うための会議や、患者へのパイロットスタディが実施できていないため、人件費・謝金およびその他(会議費、印刷費、郵送費など)の費目で未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の未使用額は723,087円であり、平成28年度の直接経費は1,823,087円の予定である。物品費として、図書・文具・ソフトウエア・プリンター・トナーなどの購入費として15万円、国内外での人的ネットワークの構築、学会での発表を目的として旅費55万円、調査票の入力作業のための人件費や研究協力・研究助言指導謝金として28万円、その他(会議費、印刷費、郵送費、翻訳・英文校正費、学会参加費など)84万円の使用を計画している。
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