研究実績の概要 |
平成28年度において、治療形態(外科的治療、ステントグラフと内挿術、ハイブリッド手術)に依拠しない汎用性の高い、回復促進看護師支援プログラムの構築を目指し、腹部動脈瘤手術患者との差異と類似性の分析を実施した。平成29年度は、腹部大動脈瘤手術患者を対象に開発された、Aneurysm TSQ(Aneurysm Treatment Satisfaction Questionnaire)、Aneurysm Symptom Rating Questionnaire(Aneurysm SRQ)を参照しながら、今まで明確化された有効なIllness perception Questionnaire:IPQの質問項目をどのように、個別性を踏まえた回復・療養支援に生かせるか、支援内容と支援時期、面接内容、支援方法を明確化した。 退院前に本人が懸念している身体的諸問題を把握し、症状の経過や回復の見通しについて、パンフレット等で視覚化したものを提示することとした。患者の病気に対する認識、回復に対する認識をIPQおよびAneurysm SRQを参考にした、独自の項目を面接形式で把握するが、見通しを含めた情報に対するニーズは、患者によって異なることが明らかになっており(Dubois et al, 2014)、その点を留意して教育的・認知的支援を行なう方向性とした。先行研究より、退院後1~3ヶ月目において身体機能の回復の高まりが、QOL尺度や面接の言語的データからも明らかになっており、介入時期は、退院前の次は、退院後1ヶ月目、3ヶ月目とした。対面による支援もしくは電話での支援、両方が可能なように教育的支援だけではなく、手術に対する肯定的な意味づけが促進できるような傾聴に基づく情緒的支援を主軸として、看護師が実施する独自性と意義を明確にした。これらの回復促進看護支援プリグラムは、看護職からの適切性、妥当性についての助言を得たが、患者への実施による有効性の検証は課題を残した。
|