研究実績の概要 |
平成29年度は病院での電話外来の実際を調べ電話外来のシステム作りについて考察した。C病院は、年間約300名のがん患者の治療を行う地域の中核施設であり、敷地内に訪問看護ステーションと老人保健施設を併設していた。がん患者の特徴は、平均年齢76.2歳、男性65%、消化器系のがん腫が多く、病期は0~Ⅰ期が39%、Ⅳ期28%であった。2か月間の電話調査では、患者・家族から40件の電話相談があった。C病院では、オペレーターを介し各部署で事務職員が初期対応し必要時、看護師につなげるシステムであった。40件中、看護師が関与したのは24件であった。相談内容は、倦怠感、食欲不振、腹部膨満感、悪心嘔吐、歯痛、感冒症状、血痰、頻尿、顔面の痙攣、血糖値上昇、腹痛、膝関節痛、手指しびれ・鼻出血についてであった。電話相談は深夜が1件で、95%以上が8時から17時の時間帯であった。C病院は、お金を請求する電話外来ではなく、非常用の電話相談を行っていた。病院で電話を使用した症状管理等のケアをシステム化するためには、初期対応する事務職員と看護師の連携強化、複雑な電話相談に対応できる専門的な知識や技術を持った看護師の育成、患者の満足度やアウトカムを適宜調査することが課題としてあがった。 次に、通院しながら訪問看護サービスを受けていたがん患者についてまとめた。対象は66名で、平均年齢77.8歳、緩和ケア・終末期ケア対象者39.3%、一人暮らし15.2%であった。平均訪問看護料は、52,541円/月(範囲:2,394~420,090円) であり、訪問回数は平均7回/月(範囲:1~48回)であった。1か月で10回以上の訪問看護を受けていた方は16名(24.2%)いた。 患者の症状管理のための電話外来システムは、訪問看護ステーション等の地域の施設と連携を取りながらシステム化していくことが現実的であると考えられた。
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