本研究の目的は、一般病棟において看護師が、患者や家族の予期悲嘆を考慮したグリーフケアにつながる質の高い死後の処置を含めた看取りケアを提供するための院内集合研修プログラムを作成し、教育的支援システムを開発することである。 今年度は、2018年3月~4月に実施したがん診療連携拠点病院およびA県内病院におけるジェネリストへの看取りに関する支援などを明らかにすることを目的に、都道府県および地域がん診療連携拠点病院399施設、A県内において100床以上の病床を持つ病院223施設の看護現任教育統括責任者および看取りに関する集合教育研修会など教育企画運営者(実質運営者)それぞれを対象に実施した自記式質問紙調査結果をまとめ、集合教育プログラムについて検討した。下記は調査結果の概要である。 都道府県および地域がん診療連携拠点病院看護現任教育統括責任者を対象とした調査(有効回答率18.3%)では、看取りに関する集合教育は47.9%で実施しており、「院内における看取りケアの質向上」「死を迎える患者へのケア実践の伝授」などを目的とし、新人看護師または看護師全員を対象に開催されていることが多かった。一方で、A県内病院看護現任教育統括責任者を対象とした調査(有効回答率18.8%)では、看取りに関する集合教育は、42.9%で実施しており、「院内における看取りケアの質向上」「死後のケア実践能力の向上」などを目的に、新人看護師、看護師全員の他、看護補助者を対象に開催されていたが、看取り教育の達成度は低く、成果を実感する反面、「運営評価ができていない」「詰め物をするかしないかで意見が分かれている」など具体的な課題を抱えていることが明らかになった。今後は、現場のニーズを取り入れながら、看護師が患者やその家族の心残りが少なくなるよう、教育プログラムに反映させる必要があると考える。
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