研究課題/領域番号 |
26463347
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研究機関 | 新潟県立看護大学 |
研究代表者 |
高柳 智子 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (90313759)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脳卒中 / リハビリテーション看護 / 移乗 / 見守り |
研究実績の概要 |
平成29年度は、平成27年度にデータ収集した回復期脳血管疾患患者が見守りから移乗自立への過程で得た経験知について、平成28年度に引き続き、分析及び論文作成を行った。その結果、回復期脳血管疾患患者がベッド・車椅子間移乗の見守り支援から自立へと至る過程で捉えた経験知として、《車椅子のブレーキ操作の定着が移乗自立の絶対条件と心得る》《転倒リスクは皆無にできないことを認識する》《障害による身体特性を意識して動く》《移乗の各局面における自分なりのポイントをつかむ》《確実な移乗手順を遂行するために時間の余裕を確保する》《医療者の判断を受け入れる》《訓練室とは異なる環境での移乗に折り合いをつける》の7カテゴリーが抽出された。 この中で、カテゴリー《訓練室とは異なる環境での移乗に折り合いをつける》において、患者は実際の移乗前後での布団操作を苦慮し、看護師の支援の下で工夫を重ね自立していったことが複数の対象から語られていた。移乗に伴う布団操作の自立支援は、看護師からみた移乗自立支援では見いだせなかった内容であり、ケアプロトコールにどのように入れ込むべきか、その実態から解明していく必要が生じた。そのため、布団などの掛物が特に必要となる冬期間に、回復期リハビリテーション病棟でリーダー業務を担う看護師を対象とした実態調査を実施した。現在、データ分析を行っており、その成果をケアプロトコールに反映させていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
移乗時の見守りから自立に至った患者のインタビューデータの分析に時間を要したことに加え、この分析過程の中で移乗前後での布団操作といった新たな検討課題が浮上した。片麻痺患者の布団操作自立支援に関する先行研究はほぼない状態であり、ケアプロトコール試案作成のためには上記の実態調査から着手せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に行った移乗前後の布団操作自立支援の実態調査の分析を進め、その結果を参考にケアプロトコール試案を作成する。次いで、看護実践への適用可能性を検討するために、専門家会議および回復期リハビリテーション病棟看護師への調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
[理由] 平成27年度に収集したデータ分析作業が計画以上に時間を要し、当初予定していた学会発表を経ずに論文作成を行った。そのため、学会発表の旅費として計上していた分が持ち越しとなった。加えて、当初予定していなかった移乗前後の布団操作自立支援の実態調査が上記研究成果から追加となり、それに伴う調査経費および分析ソフトが必要となった。 [使用計画] 平成30年度は、ケアプロトコール試案作成と、専門家会議および全国調査を実施するため、残金を支出する。
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