研究課題/領域番号 |
26463354
|
研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
北川 公子 共立女子大学, 看護学部, 教授 (30224950)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 認知症患者 / 緩和ケア病棟 / がん / 緩和ケア |
研究実績の概要 |
認知症併存がん患者の緩和ケア病棟への入院の現状を明らかにし、認知症患者の緩和ケアに対する示唆を得ることを目的に、全国の緩和ケア病棟330ヵ所に、認知症患者の入院状況、認知症患者の入院基準等に関する質問紙調査を行った。期間は、平成27年12月~平成28年3月である。 結果、緩和ケア病棟67ヵ所(回収率20.3%)から返信を得た。このうち、回答時に認知症併存がん患者が入院中の病棟は29ヵ所(43.3%)、未診断だが認知症症状を有する患者が入院中の病棟18ヵ所(26.9%)、過去に入院していた病棟17ヵ所(25.4%)であり、大多数の緩和ケア病棟に認知症併存がん患者が入院していた。また、「認知症患者の入院に関する相談等が増えている」と答えた病棟は27ヵ所(40.3%)、「入院が増えている」という回答が39ヵ所(58.2%)であった。 認知症患者の入院基準としては、「患者自身が入院を承諾している」(56.7%)、「患者が入院を希望している」(46.3%)、「安全に支障をきたす症状がない」(46.3%)を挙げる病棟が多くみられた。さらに、認知症併存がん患者に緩和ケアを提供する場としては、保健福祉施設(58.2%)、グループホーム(56.7%)、在宅(56.7)、緩和ケア病棟(50.7%)の順に多かった。また、緩和ケア病棟で認知症併存がん患者を今まで以上に受け入れやすくするには、「認知症に関する研修」(44.8%)に次いで、「ボランティアの充実」(43.3%)とする回答が多い傾向であった。 以上より、緩和ケア病棟の多くで認知症併存がん患者が受け入れられている実態が明らかとなった。その一方で、患者自身が入院を希望し、承諾することのできる程度の認知機能が保持されていない場合には、緩和ケア病棟への入院が困難である可能性も示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、全国の緩和ケア病棟を対象に、1.ユニット票、2.看護師票、3.家族票の3つの質問紙調査を行う予定であり、このうち、1.ユニット票、2.看護師票の2つの調査を実施した。協力を得られる病棟の数や認知症併存がん患者の入院実績をある程度、把握できないと、3.家族票の実施は難しいと考え、3.家族票の実施が次年度とした。その点が、予定に反したことであったため、(2)の評価とした。 なお、1.ユニット票にて把握した結果の概要は「研究実績」の通りであるが、2.看護師票は、平成28年3月初旬までデータの返送があったため、分析には至らなかった。2.看護師票の回答数は約300通である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、平成27年度に実施できなかった家族に対する調査と、データ分析から得た知見を補うために、看護師等へのインタビュー調査を行う。 平成28年度には、平成27年度に実施した質問紙調査の結果を報告書にまとめ、それを全国の緩和ケア病等に送付するとともに、その際にご家族への調査や看護師へのインタビューに協力の得られる病棟をリクルートすることとする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査(2.看護師票)300通の返送が平成28年3月初旬まであり、データ入力の業者委託が平成28年4月以降にずれ込んだため、研究費に残額を生じる結果となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年5月現在、調査票300通のチェックを終えたため、近々、業者にデータ入力を依頼し、残余分の研究費を執行する予定である。
|