研究課題/領域番号 |
26463359
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
大西 奈保子 帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (60438538)
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研究分担者 |
定村 美紀子 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (40321301)
福井 郁子 帝京科学大学, 医療科学部, 助教 (50759842) [辞退]
奥宮 暁子 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (20152431)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 在宅ホスピス / 看取り / 家族ケア / がん患者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、がん看護もしくは終末期ケアにおいて注目されている在宅ホスピスケア(がん患者の在宅での看取りケア)において、在宅での看取りを希望する患者が家で生活できるために、家族が最期まで患者をケアすることができた要因を明らかにしてそれを理論化し、在宅ホスピスケアにおける家族ケアシステムの構築である。 死亡増大時代の現在、国は地域で最期まで過ごせるための施策を講じているが、がんで亡くなる人の場合は、そのうちの約8%しか在宅で亡くなっていない。最期をどこで迎えるのかという問題は、患者・家族のQOLの観点や切迫する医療費の問題からも急務の課題であり、本研究では、症状コントロールが困難であることやより死を意識しやすく精神的なケアが必要であるため、在宅での看取りの件数が少ないと言われているがん患者の在宅での看取りに焦点を当てて調査することが目的である。 希望するがん患者が最期まで自宅で生活できるためには、医療・福祉職者の支援は重要ではあるのは間違いないが、それだけでは在宅での看取りには結びつかいないことがある。それは、一緒に過ごす家族が在宅での看取りを受け入れなければ、どんなに本人が在宅死を希望しても実現しない。 そのため本研究では、がん患者を在宅で看取った経験のある家族に、なぜ在宅で看取ることができたのかを中心にインタビュー調査を行い、その内容を質的帰納的方法にて分析を行った。その結果、在宅で看取ろうとする家族の覚悟が重要であることがわかった。家族の人生観・死生観である在宅での看取りを受け入れる思い、家族を取り巻く人間関係、家族が患者・家族の置かれた現状を認識する力が、家族の覚悟を支えていることが明らかとなった。今後は、対象者数を増やし、条件の違いによって、家族の在宅で患者を看取ろうとする覚悟に違いがあるのか、明らかにしていくことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度までに、対象者15名からのインタビューデータを収集・分析し、学会発表・学会誌への投稿をして、その論文が採択されるに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
一旦、論文としてまとめることができたが、インタビュー対象者の属性や年齢、看取った患者の在宅ケア期間、患者の年齢等にばらつきがあった。そのため、対象者の条件をそろえるためにデータ数を増やしていき、家族の看取りの覚悟の違いを明らかにしていくのが課題である。また、在宅ケアを続けていながらも最終的に看取りのみは施設で行ったケースなどにも対象を広げて、データ収集をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象者15名分をいったん論文にまとめる作業を平成27年度前半に行ってきたため、それに伴う研究費の使用が少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度後半から平成28年度にかけて、対象者の追加インタビューを実施しているため、それに伴う研究費の使用が見込まれる。また、研究協力者との研究会開催等も実施しているため、それらに伴う経費を使用する予定である。
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