本研究の目的は、次世代を担う子どもを育てている母親の食習慣を明らかにし、母子を対象とした食生活指針に関して考察することである。そのため、調査地域を全国的に割り振り、幼児を育てている母親の日常的な食習慣を量的、質的調査を実施した。 まず、幼児を育てている母親を対象に全国レベルでBDHQ調査を実施した結果、「食事バランスガイド」の分類別平均摂取量(SV)は、主食3.9 、副菜5.5、主菜7.7、牛乳・乳製品1.54、果物0.9で、主食、果物、牛乳・乳製品は推奨量よりも少なく、主菜は推奨量よりも多かった。調査地区別の「食事バランスガイド」に示される平均摂取量を検定した結果、主食と果物の摂取量には差がなかった。副菜は北海道地区、主菜と牛乳・乳製品は四国地区、菓子類は本州地区に居住する母親の平均摂取量が多かった。 また対象者の7割以上の母親は、朝食を摂取し、食事の好き嫌いはほとんどなく、食事の時間も規則的な食生活を送っていた。母親と子どもの食習慣の関連を検討した結果、「なにかをしながら食事をする」という習慣が、母子で一致していた。 質的調査の結果、幼児を育てている母親には、【夫の食に対する考え方の影響】、【自分と夫が経験してきた食の影響】、【レジャーとしての外食】、【時間がない時のできあいものの活用】、【とにかく朝食はとる】、【子どもに食べてもらえるようにする】、【お茶碗1杯が普通の主食】、【あれば食べる果物】、【自分の健康への少しの気遣い】という9つのカテゴリーで示される認識が認められた。母親は、子どもにはより良い食事をさせたいと願っているが、母親自身の食事内容そのものは「食事バランスガイド」の推奨量からかけ離れている実情が意識されていなかった。 以上の調査結果より、幼児を育てている母親と子どもを対象とした食生活指針には、母親と子どもの食事バランスの関連の検討が必要であると考える。
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