研究課題
本研究の目的は、1)ADHDハイリスク群の早産児の多動性・睡眠障害を体動計で客観的に評価する、2)早産児の多動性・睡眠障害と母親のメンタルヘルスの関連を明らかにすることである。研究対象者は修正月齢18ヶ月児とその母親である。研究目的1)では、アクチグラフによる児の活動・睡眠を早産群(40名)と正期産群(50名)で比較した。早産群の夜間覚醒ブロック数は、正期産群に比して有意に多いが、夜間睡眠時間に有意差はみられなかった。夜間覚醒ブロック数と新版K式発達検査指数に有意な相関はなかった。早産群で夜間の体動が多いことは先行研究の結果と一致しているため、この傾向がいつまで続くか、発達検査の結果と合わせて追跡調査が必要である。さらに、正期産群50名を対象に、アクチグラフから得た体動数をもとに睡眠と活動リズムの関係を検証した。その結果、昼間睡眠時間が長い、かつ昼間睡眠の終了時間が遅いほど、後続の夜間就寝時間は後退し、夜間睡眠時間が短縮することが明らかとなった。夜間の睡眠時間を十分に確保する上で、昼寝を早めに切りあげることが重要であると結論した。研究目的2)では、修正月齢18ヶ月前後の児を育てる母親で、EPDS得点が9点以上の者はいなかった。早産群の母親の育児ストレス得点は、正期産群に比して有意に高く、早産群の母親の方が養育への負担を感じていると考えられた。児の睡眠指標と母親の育児ストレスの相関係数から、児の夜間睡眠を短いと捉えていると、母親自身の育児ストレスが高いという結果が得られた。したがって、子どもの睡眠に対する母親の主観的評価が育児ストレスに関与していると考えられた。研究目的1)で明らかとなった、昼寝のとり方を工夫して夜間睡眠時間を確保することが、育児ストレスの低減に貢献するかどうか検証する必要がある。
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チャイルドヘルス
巻: 20(10) ページ: 印刷中
Sci Rep.
巻: 9 ページ: 1-6
doi: 10.1038/srep27246