研究課題/領域番号 |
26463372
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
内山 美枝子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10444184)
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研究分担者 |
李 鎔範 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10334658)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マンモグラフィ / 心身負荷 |
研究実績の概要 |
本研究は,「乳房を押し伸ばして画像を撮る」という特殊な方法で行われるマンモグラフィ検査時の心身負担となる体性感覚について,感覚間相互作用を応用することにより,どのような変化と影響があるか,受検者の動作解析と自律神経機能指標から定量的に検証するものである.これは,感覚間における相互作用と相補機能をもつ三感覚(視覚・聴覚・触覚)の聴覚および味覚に着目し,感覚間相互作用のいずれかを強化することで,検査時の苦痛に関わる体性感覚の変動を期待するものである. 今年度は昨年度に引き続き,準実験研究を通し,次のことを明らかにした.1.マンモグラフィ時の乳房圧迫における体性感覚と生体反応の測定を行った.体制感覚は,主観的評価(Visual analog scale,以下VAS),客観的な度合いは知覚・痛覚定量分析装置(Pain Vision;PS-2100,NIPRO社,以下Pain Vision)を用いてPain degreeを測定した.生体反応は,自律神経活動についてActivetracer(GMS社,AC-301A,医療用具許可番号13BZ6133)を用いて,心拍変動(Heart rate variability, 以下HRV)を測定し検証した.2.マンモグラフィ検査時における味覚及び聴覚刺激による体性感覚の変化と影響の検証について行った.味覚刺激に関しては,昨年度に引き続き,甘味誘発鎮痛(Sweet substance-induced analgesia: SIA)の報告を参考に,24%weight/volume(w/v)蔗糖水の甘味を用い,マンモグラフィ検査時の負荷の度合いについてVASとHRVの測定結果で2群間の比較検証を行った.聴覚刺激に関しては,マンモグラフィ検査前を想定し,検査の説明をヘッドホンで聴いてもらうことでマンモグラフィ検査の負荷の度合いの検証を行った.この際,説明の内容について痛みに関する情報を入れた群と入れない群に分けた検証も行った.これらから,被験者の負荷緩和のためのケアプログラム立案の予備データを収集することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究実施計画で挙げた項目では実験調査を行うとしており,調査は昨年度から本実験を開始し,大まかな結果を示していることから順調に進展しているといえる.今年度の目標は,下記の3項目を挙げた.1.平成26年度に実施した研究方法について被験者を増やし,比較検証を行う2.測定データをさらに詳細に統計解析・評価することでマンモグラフィ時の体性感覚を定量的に明らかにし,その成果を研究論文として発表する.3.マンモグラフィ被検者の負荷緩和のためのケアプログラムの一案を立案する.項目2までは達成した.次年度に向けてケアプログラムを策定する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
実証した結果から「ケアプログラム案の立案と検証」を目指す.そのため下記について検証を行う.1.ケアプログラムを策定し,有用性のため実験調査を行う .2.その成果について学会発表および研究論文として発表する.3.マンモグラフィ受検者の負荷緩和のためのケアプログラム案を策定し,医療関係者向けに情報提供を行う(リーフレット版の作成).
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入の納品検収の報告は平成27年度内に完了したが,支払いが4月となり次年度となったため.
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次年度使用額の使用計画 |
4月に支払いが完了している.
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