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2014 年度 実施状況報告書

児童養護施設思春期女子へのリプロダクティブ・ヘルスケア介入プログラムの開発と評価

研究課題

研究課題/領域番号 26463382
研究機関岩手県立大学

研究代表者

福島 裕子  岩手県立大学, 看護学部, 教授 (40228896)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードリプロダクティブ・ヘルスケア / 児童養護施設 / 思春期女子 / 看護ケア
研究実績の概要

児童養護施設の思春期女子のリプロダクティブ・ヘルスケアの概念構築につなげるため、高校時代に児童養護施設で生活し、助産師による継続ケアを経験した20代の成人女性3名に後方視的調査を行った。平成26年2月から5月に個別面接を実施。女性自身の経験の語りを“真実”とし、Wertz とGiorgiを参考とした現象学的アプローチ法を用い、経験の記述と意味の解釈を行った。その結果、助産師は彼女たちの経験世界で、性や健康の専門家として相談できるだけではなく、自分の身体に関心を向け、心配して、理解しようとしてくれる存在だった。助産師の関わりは身体的な自己を確認し、自分の存在を肯定することにつながっていた。児童養護施設で助産師が行うリプロダクティブ・ヘルスケアは、女性が身体を理解する事のみならず、身体の話題を通した受容的、共感的な関わりが、自分が大切にされているとうい経験となり、女性自身が自分の存在価値を確認することにつながると示唆された。
また、文献検討により、虐待の経験を持つ子どもの入所が増加する児童養護施設において、思春期女子は、一般家庭で生活する女子よりも、様々なリプロダクティブ・ヘルスのリスクにさらされる可能性が大きいこと、虐待等の成育環境による自己否定や自己の基本的身体感覚の欠如、他者との距離感が保てないなどの、個々様々な特性があること、その一方で、職員に専門知識やスキル不足により、その特性に配慮した個別のリプロダクティブ・ヘルスケアは確立されていないということ、が明らかにできた。母親から健康面の知識を受け取る機会もなく、女性性の受容や、身体を理解して大切にして生きる力が、非常に脆弱である児童養護施設の女子には専門職によるリプロダクティブ・ヘルスケアが必要であることを明らかにできた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

国内外の文献検討、リプロダクティブ・ヘルスケアを受けた経験を持つ対象者への後方視的調査により、助産師の関わりが、思春期女子の身体的な自己を確認し、自分の存在を肯定することにつながっていたこと、児童養護施設で助産師が行うリプロダクティブ・ヘルスケアは、女性が身体を理解する事のみならず、女性自身が自分の存在価値を確認することにつながると示唆され、ケアモデルの概念構築につなげる成果を明らかにできた。国内外の文献検討により、児童養護施設で生活する思春期女子のリプロダクティブ・ヘルスの問題点や課題、ケアをする際に配慮すべき点やケア提供者の持つべき姿勢についても明らかにできた。そして、ケアモデルの概念や構造をある程度明確化することができたため、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

児童養護施設の思春期女子は、多くが虐待によるトラウマを持っている。家庭や親から離れて児童養護施設の集団生活で暮らすということ自体も、親しい者から引き離されるというトラウマになっており、「基本的身体感覚」が喪失または欠如した状態である。そこで本研究で開発するリプロダクティブ・ヘルスケアの概念モデルを、虐待やレイプ、戦争捕虜や犯罪などの心的外傷(Trauma)における回復の三段階モデルを提唱したHermanの理論を参考に構築する。構築した看護ケア概念モデルを基盤に具体的ケア内容、配慮するべき点を具体化する。開発したリプロダクティブ・ヘルスケアモデルを、児童養護施設で生活する思春期女子に試行し、リプロダクティブ・ヘルスケアは、女性性の受容や性の健康に関する自己決定において、どういう意味や効果を持つのか、ケアの受け手である女子の立場から評価し、ケアモデルを精錬する。A県内の2か所の児童養護施設で生活をする、思春期後期(15歳から18歳)の女子4~5名を研究参加者とする。看護介入は個別ケアで実施し、個別の状況やニーズに合わせてリプロダクティブ・ヘルスに関する情報提供しながらケアを行う。知識提供が押しつけとならないように十分に留意する。看護介入は原則1か月に1~2回実施、最低でも半年以上継続する。看護介入が終了したと判断されたあと、同意を得て、個別の面接調査を行い、助産師によるリプロダクティブ・ヘルスケアが対象女子の経験世界においてどう認識され、どのような意味を持つのか、現象学的アプローチにより質的に明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

予算計画通り執行した結果、65円の残額が発生した。

次年度使用額の使用計画

平成27年度の人件費・謝金に用いる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 児童養護施設の思春期女子へ助産師が継続して行ったリプロダクティブ・ヘルスケアの質的評価2014

    • 著者名/発表者名
      福島裕子
    • 学会等名
      第34回日本看護科学学会学術集会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2014-11-29 – 2014-11-30

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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