1.開発したリプロダクティブ・ヘルスケアモデルによるケアの実施 M市内2箇所の児童養護施設で生活する高校生女子5名を対象に、個別的、継続的ケア介入を実施した。個別ケアの実施は研究者が行い、平成28年2月から1~3週間ごとに1回のペースで実施した。ケアの介入回数は、1名が12回、1名が17回、3名が23回であった。開発したモデルに沿って、最初は信頼関係の構築を図るためのおしゃべりやハンドマッサージなどを中心とし、「安心と安全の経験を促すケア」を行った。その中で個々の身体面に目を向けながら、自己の身体理解を通した「基本的自己感覚」を取り戻すケアを実施した。知識を一方的に伝えるのではなく、助産師が母親のように女子の“身体や性”を気遣い、大切に思う姿勢で関わり、個別ニーズや状態に合わせて知識や情報を提供した。個別の状況に合わせて、教材も随時手作りで作成して個別ケアに活用した。 個別ケアが進むにつれ、“身体や性”の話題だけではなく、友人関係や恋愛、進路の相談、施設の生活に対する不満や家族への想い、自己の生い立ちなど、女子の個別の背景にからむ様々な感情や考えが表出されるようになっていった。そのような場面でも、決して否定することなく受容・共感し、ここまで生きてきた女性の存在を認めるような言葉かけや、人生の先輩の女性として研究者自身の考えを伝えるなどの関わりを行った。個別ケアとして関わっている“いま、ここの時間”が、女子にとって肯定され受容されている「快」の気持ちが得られるように関わった。 2.ケア介入の評価 ケア介入終了後、個別の面接調査をそれぞれ2回ずつ実施し、助産師のケア介入を振り返ってもらい、印象に残っている場面や助産師の関わりへの感想や思いを聞き取った。データは現象学的アプローチによる分析を行い思春期女子の経験におけるケアの意味を明らかにした。
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