本研究「生殖医療に携わる看護師の実践能力開発とキャリア形成支援プログラムの構築」は、生殖医療に携わる看護職者に対し、生殖看護独自のケアリング機能を発揮できる看護専門職としてのキャリア発達を促進するための支援プログラムを構築することを目的とした。生殖医療に携わる看護職者が挙児を希望し治療を受ける対象者に対し、適切な情報提供や相談を行い、治療について納得した自己決定ができるように支援するために、どのようにキャリアを構築すべきか検討するため、文献検討を行った。その結果、不妊治療の趨勢は生殖補助医療(ART)に重点が置かれているように見えるが、不妊治療の7~8割が一般不妊治療であることや、初診患者に対する一般不妊治療の重要性を喚起する報告があった。本研究課題への着手前に実施した日本の生殖医療に携わる看護職者への聞き取り調査データを再分析したところ、看護者の個別相談担当の難易や場所の確保は大学病院、病院よりも診療所がフレキシブルに対応しており、場の特性が看護者の役割機能の発揮に寄与していた。また、生殖医療に携わる看護職者のキャリア発達には、看護者の個人特性以外に生殖医療の特性として、医学の急速な進歩が看護職者にとって継続学習の必要性を強く自覚させる反面、ワークライフバランスを維持しつつ最新知識の習得をすることにジレンマを抱いていることが明らかとなり、職場環境を整える必要性が示唆された。一方、海外では専門性の成熟をみるため調査内容に医学知識を問う項目が設置され、自己研鑽の結果から看護職者の評価がされており、看護職者への支援と自発的活動の双方向のプログラムの必要性があった。年度内では以上の必要性を踏まえた質問紙の作成、試用、臨床との交渉に至っており、全体での結果・分析は延長して研究していく。
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