研究実績の概要 |
目的:保育器に収容されている早産児への声かけを想定し、両親と他者の音声を区別するための分析ツールを探ること。 方法:保育器内の早産児模型人形に対し、看護師4名、男性医師1名に同様の声をかけてもらい録音したが、臨床現場は雑音が多く音声分析が難しかったため、一般女性2名の音声サンプルを便宜的に選出しプレテストを実施した。音声は同じ言葉の単語を使用し、詳細な音声分析をするために「せ」の一語を抽出し比較した。なお、ヒトの耳で聞こえないとされる26,000Hz以上はカットする処理をした。 結果:対象Aの全データ点数は5882、音声変動範囲は-20,614.0Hz~25,622.0Hzであった。対象Bの全データ点数は5,779、音声変動範囲は-10,806.0~14,305.0Hzであった。時系列データ図の比較では、対象Aの振動の振れ幅が大きく声が大きかった。それに比べ対象Bは振れ幅が小さく声が小さかった。スペクトル密度図の比較では、対象Aは15,000Hzまでの高音が多く、5,000~8,000Hzの低音密度が低く落ち込んでいた。対象Bは5,000~8,000Hzの低音周波数の音が出ており、12,000Hzから15,000Hzまで高音の周波数が減っていた。 考察:2名の音声データを、実際に聞き比べてみても違いを感じることができなかったが、MemCal/winV1.2を用いて音声分析を行った結果、ヒトの耳では感知できない音声の大きさや周波数に違いが見られ、2名の「声」は明らかに異なることがわかった。今後NICUにおいて声かけの音声分析を遂行するが、臨床現場では様々な雑音の中、どのように良い状態で声を録音するかが課題となった。 結論:一般女性の音声サンプルデータを用いて音声分析を行った結果、同じ言葉を発しても、時系列データ図やスペクトル密度図の比較において、「声」を区別できる可能を見出した。
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