精神疾患を有する親と子ども・家族への支援法として、安全性・有用性が報告されているフィンランドのLet's Talk About Children(以下、LT)を本研究の目的であるweb-basedサポートプログラムに位置付ける取り組みを中心に実施した。LTは、諸外国においても適用および実践されており、オーストラリアでは支援者に向けたe-learningが開発されているなどから、日本でも発展的可能性を有するものであると考えた。 まずはLTの日本への適用可能性を検討した。都内大学病院の精神科クリニックに通院している研究対象者に介入研究を実施した。結果、安全性および実現可能性が示され、日本への適用可能性が示唆された。 さらに、精神疾患を有する親と子ども・家族を支援する支援者および当事者を支援することを目的に、支援に関する社会資源や支援者に向けた研修会の開催の情報発信などを行うためのホームページを作成した。本ホームページを見た当事者より支援に関する社会資源の問い合わせを受けたり、支援者より本ホームページを通して研修会の申し込みを受け、研修会の実施などを行うことにより、当事者および支援者に対するweb-basedサポートを行うことができたといえる。 また、精神疾患を有する親と子ども・家族への支援に関わる支援者(精神科病院、保健センターや児童相談所などに所属する専門家)を対象に、支援に関する実態及びニーズに関する全国調査を実施した。結果、多くの支援者は、親や子どもへの支援は必要であると回答していた一方で、支援に関する知識・情報や研修は高いニーズとして示された。以上より、本研究で作成したホームページは、支援に関する知識・情報を提供し、さらにLTの研修会開催など支援者へのサポートプログラムとしての一定の評価ができると考える。支援者への全国調査では支援に関する実態と今後の課題も示唆された。
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