昨年度作成した「リチェックシート」は、産後の母親が自分自身の疲労状態を確認するために作成した評価ツールである。合計点数が100点以上の場合には疲労の蓄積している状態であり、そのままの状況が続くとうつ状態に移行する可能性があるため、母親自身がセルフケアできるように対応策を示している。 今年度は、この評価ツールの使用にあたり、助産師(医療施設、助産院)、産科医師に評価ツールの内容および使用上の問題点等について意見を求めた。助産師からは、①産後の母親の疲労感は個人差があり評価が難しかったが、客観的に評価できるためスタッフ間の判断にばらつきがなくなった、②母親が自分の疲労に気づくことができた、③エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)より、産後の母親の精神状態を把握しやすかった、④産後の母親が答えやすい質問項目なので記載しやすいが、合計点数を計算する作業が負担になった、という意見が出された。産科医師からは、医師は産後の心理的な評価を行うことは困難なので、助産師が評価ツールやEPDSを活用して心理・社会面を評価して欲しい、という意見であった。また、出産施設退院後に継続的な支援が必要な母子を的確に把握する評価ツールとして活用するために、行政の母子保健担当者に意見を求めた。産後健診では、EPDS等の3つの質問調査を行い継続支援の有無を判定しているが、母親の中にはEPDSでうつ病をスクリーニングされることに抵抗感があり実施を拒否する方もいるため、EPDSに代わる評価指標の検討が必要であることや、産後も継続的な支援が必要な母親は、産後1か月以降も母親の疲労度を含めた心身の状態を継続的に観察する必要があることがわかった。 以上のことから、母親自身でセルフチェックできる本評価ツールを医療機関や産後健診等で活用することは効果的であると考えるが、産後4か月までの母親に使用できる内容に改善する課題が明らかになった。
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