研究課題/領域番号 |
26463399
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研究機関 | 関西看護医療大学 |
研究代表者 |
小嶋 理恵子 関西看護医療大学, 看護学部, 准教授 (20404402)
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研究分担者 |
野村 光江 関西看護医療大学, 看護学部, 助教 (10632698)
山口 さつき 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 准教授 (20552574) [辞退]
兵頭 慶子 宮崎大学, 医学部, 教授 (50228756)
森谷 美智子 東都医療大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70720499)
古川 秀敏 関西看護医療大学, 看護学部, 准教授 (10316177)
長谷川 由香 関西看護医療大学, 看護学部, 講師 (40614756)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | われわれ意識 / 犠牲を伴う満足感 / 結婚に対するコミットメント / 配偶者に対する愛着 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、Couple Identityの概念分析を行った。【方法】1976 ~ 2013年5月までの期間にAcademic Search Complete、SocINDEX、 MEDLINE を用いてCouple Identity で検索した31件のうち、重複処理、英語文献、人間を対象としたものに限定した18論文を分析対象とした。結果、Couple Identityの属性としては、【夫婦がユニット/チームであるという感覚をもつこと】、【援助者や重要他者からカップル(ユニット/チーム)としての確証が得られること】、【対人関係における3つの要素を身につけている:他者との関係における自己の内省的思考、共感性、パートナー同士が相手の考えをどのように理解しているかを把握すること】、【夫婦であることに帰属する「われわれ意識(we-ness)」の形成】であった。先行要件は、【夫婦・婚姻関係である】であり、帰結は、【パートナーの利益のために行動することの満足感; 犠牲を伴う満足感 】、【結婚に対するコミットメント】【配偶者に対する愛着】であった。以上のことから、カップルアイデンティティの形成とは、夫婦双方が、自分たちは一つのユニット/チームであるという感覚を持ち、かつ周囲からもその確証が得られていること、そして、夫婦がパートナーとの関係を内省し相互理解を深めていくことで「私たちは(親)~である」という「われわれ意識」に基づく明示的発言がみられる状態であるとした。以上のことから、助産師は、夫婦をひとつのユニットとしてみなし、夫婦双方が、妊娠や出産、子育てについて考える機会を設けること、お互いの親移行に伴う心理的変化について理解しあえる場を設けることも重要であると考えた。本研究の結果は看護科学学会で発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度の計画は以下の内容であった。1.カップルアイデンティティの概念分析:これについては、18文献を分析した結果をまとめて学会発表を行った。先行文献がすべて英文であったことから、文献の入手、内容分析をすることに時間を要し、4月から10月まで時間を要した。11月の学会発表後に、論文にまとめる作業を行っているが、まだ作成途中である。この作業を通して、カップルアイデンティティ尺度の影響要因(援助や出来事など)を抽出する予定である。この概念分析の遅れが全体の遅れにつながり、調査に着手できなかった。2.アメリカの研究者から承諾が得られた尺度の日本語版を作成。カップルアイデンティティ尺度の日本語版、父親尺度の日本語版については作成を行い、共同研究者とワーディングのチェックを行い修正を行った。1.の研究に時間を要したため、この2の作業に着手できたのが11月からであった。3.北海道の共同研究者が、所属機関の新たな役割が増え、研究協力者となったため、当初予定していた、北海道での調査準備も遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
26年度にDVが生じた夫婦の夫婦間調整・修復の援助を行っている民間援助者のインタビューからその支援の実際を明らかにした。この結果を論文にする予定である。また、平成27年度の夏には、少数の研究協力者を募り、尺度への回答を通して困難の有無、ワーディング、回答の欠損の有無を確認し、質問紙の作成を行う予定である。質問紙の作成後、全国の助産院に質問紙調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、2つの要因がある。1つめは北海道の共同研究者が勤務の都合により、研究協力者に変更になるにあたって、今後の調査研究対象施設との調整に時間を必要とした。2番目には、質問紙調査作成に反映させるための、カップルアイデンティティの18の英語文献の入手、および内容分析に時間を要し結果をまとめることができたのが10月であった。使用許諾を得ていたカップルアイデンティティ尺度、父親尺度の日本語版の作成は、予定通りに進めることができたが、質問紙の作成には至らなかったため調査研究に遅れが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、質問紙調査を行う予定にしている。そこで昨年度にこの調査に充てていた予算を使用する予定である。
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