研究課題/領域番号 |
26463403
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
兒玉 英也 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30195747)
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研究分担者 |
篠原 ひとみ 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80319996)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 出産不安 / 睡眠障害 / 疲労 / 妊娠合併症 / 産後うつ / 妊娠末期 / 心拍変動バイオフィードバック |
研究実績の概要 |
妊娠末期の出産不安と睡眠状態、疲労感、および妊娠異常、産後うつとの関係について明らかする目的で、これまで健康な妊婦75名に、妊娠32-34週に出産不安の評価尺度JW-DEQversionA(JW-DEQ)、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)、エップワース眠気尺度(ESS)、疲労感の評価尺度(VAS)による質問紙調査を実施し、客観的に睡眠覚醒判定を行うアクティグラフを48時間装着した。産後1ヶ月にエンジンバラ産後うつ病調査票(EPDS)を実施した。尺度間の相関はpearsonの相関係数を求め、平均値の差の検定はt検定を実施した。その結果、JW-DEQはVASと弱い正の相関(r=0.29)を認めた。JW-DEQは主観的な睡眠状態を示すPSQI、ESSとは相関を認めず、アクティグラフの活動区間中のpslp、lgsepと弱い正の相関(それぞれr=0.29,r=0.32)を認めた。VASはアクティグラフの就寝区間中のplspと弱い負の相関(r=-0.32)、waso、actxと弱い正の相関(それぞれr=0.25,r=0.3)を認めた。分娩までに異常を発症した妊婦14名(異常妊婦群)と正常妊婦群での比較では、JW-DEQは有意に異常妊婦群が高かった(P= 0.03)。JW-DEQはEPDSと有力な正の相関(r=0.41)を認め、EPDS9点以上と8点以下では、9点以上がJW-DEQが有意に高かった(P=0.009)。これまでの検討から、妊娠中に出産不安が強い妊婦は、自覚のない睡眠状態の悪化が存在し、疲労感が増強していると考えられた。妊娠中の出産不安は、妊娠異常の発症、産後抑うつ状態のリスクを高める可能性が示唆された。 また、出産不安に対する心拍変動バイオフィードバックの有効性を検証する目的で、これまで約30例の妊婦のデータを収集しており、次年度で分析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、100例近い妊婦からのデータ収集が行われており、その分析の結果、妊娠末期の出産不安が妊婦のQOLに影響し、妊娠・分娩合併症並びに産後うつとも関係することが、統計的に実証できると思われる。また、心拍変動バイオフィードバックについても、その有効性を検証できるだけのデータ収集が期待できる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
さらなるデータ収集を行うとともに、より合理的な統計分析法を検討して論理的かつ明確な結論を導き、その成果を学会等で発表し、学術論文として投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本格的にデータ分析を行うのが次年度であることから、論文執筆に必要な研究図書の購入が、予定より少なかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
論文執筆に必要な研究図書を何冊か購入し、本格的なデータ分析を行って論文執筆を行う予定である。
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