研究課題/領域番号 |
26463408
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
石川 眞里子 山梨大学, 総合研究部, 教授 (60289915)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 小児ストーマ排泄領域 / 成人医療移行 / トランジション / 移行期医療連携 / 看護の継続 |
研究実績の概要 |
本研究は、直腸肛門奇形(鎖肛)やヒルシュスプルング病等の小児外科疾患治療後の排泄障害により長期管理を要する患者に対して、小児外科領域から成人外科医療に移行(トランジション)を支援するための治療・ケアガイドを作成し、医療ケアシステム構築への示唆を得ることを目的とするものである。 平成26年度は、対象を予定していた鎖肛の会の実質的な活動停止があり、山梨県内の患者リストアップ、およびトランジションに関する文献検討を行った。小児外科疾患におけるトランジションの必要性と問題点には、移行期医療を受けるか否かの決定権は患者・家族にあることから、本人の理解力と判断力に応じた説明を受けて決定や意見を表明できることが重要である。また、年齢と共に変化する病態研究および適切な診療方法の開発が不可欠となっている。ここで明確なのは患者側と医師側では病気を介した濃い人間関係が良くも悪くも影響しあっているともされる。小児外科疾患には希少難病が多いために成人診療科に引き渡す受け皿がないのも現状であるとされている。 平成27年度は、第33回日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会(研究者が会長)において、パネルディスカッション「ストーマ・排泄管理を要する患者の移行期の問題」を取り上げた。成人医療の学会で小児の移行期の問題に焦点を当てるのは初めてである。県内の機関病院における小児外科と成人外科の連携のモデルケースから、成人外科への移行を進めるには、小児外科医療者から知識を含めた情報や技術の提供、患児・家族が成人外科医療者との関係性の構築ができるような関係者間の連携は不可欠であった。成人外科への転科を果たした後にも専門の多数診療科・多職種連携は全ての時期で必要との示唆が得られた。幼少期からの治療に看護は関わっており、今後の移行期医療連携を促進するには小児から成人領域への看護の継続と役割の明確化が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・調査用紙作成にあたり、トロント小児病院のトランジションプログラムを参考に検討していたが、全体の枠組みを整理するためにさらに文献検討を行う必要性が生じた。 ・研究協力者である小児外科医師の施設の移動等があり、小児外科学会における移行医療の進め方の情報が入りにくくなった。しかし、学会開催を協力いただいたことから、トランジションの委員からの情報は得やすくなった。今後は定期的な情報交換を行い、小児外科学会との連携も図るようにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
・文献検討の後、調査内容の枠組みを明確にし、調査用紙の作成を行う。 ・鎖肛や二文脊椎症などの排泄機能障害のある疾患を広げ、県内リストを整理する。鎖肛の会への調査の可能性について再検討を行う。 ・27年度は甲信ストーマリハビリテーションに関連する2県内の医師および成人外科医師、皮膚排泄ケア認定看護師を対象とした調査までに至らなかったので、今後行う予定である。 上記を平行して進め、28年度のケアガイド作成までを達成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
・学会開催により、調査がまだ進んでおらず謝金などが発生しなかった。また、会議費は学会の方で負担したこともあり、今年度の旅費、人件費および謝金に充てた経費を使用しなかった。物品費として、研究協力者にデータを分担して整理するためにUSB等を物品費で購入した。
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次年度使用額の使用計画 |
・調査用紙の印刷、封筒印刷、図書の購入等の物品費、データ入力および解析の人件費・謝金、甲信ストーマ講習会の場における委員会の開催や都内(愛育病院)での委員会の開催のための旅費、学会参加のための旅費、印刷費、郵送費等に使用する予定である。
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