マタニティ・ヨガ(以下ヨガとする)運動による開脚度と呼気時間の定量化、およびヨガ実施妊婦の分娩所要時間等の相関を明らかにし、安産との関係を考察した。 1.開脚度に現れる運動効果はとしては、妊娠中に行うヨガ運動は、開脚度を向上させるのに速効性があり、かつ、7~8回継続して行うと開脚度はより向上することが明らかになった。また、3群分けした中群の開脚度数の妊婦は、8・9回継続実施により、より開脚度が向上することが明らかになった。さらに、高齢初産婦のヨガ実施後の開脚度は向上することが明らかになった。2.呼気時間に現れる運動効果としては、1回のヨガ運動は呼気の長さを延長させるのに速効性があり、ヨガ運動を継続することは、妊婦の呼気の長さを延長させることが明らかになった。最初に行うヨガ実施前の呼気の長さよりも、最後に行ったヨガ実施後の呼気の長さのほうが長いことが明らかになった。さらに、高齢初産婦のヨガ実施後の呼気の長さは延長することが明らかになった。これにより1回換気量を増加させることで、妊娠期の呼吸苦を軽減させる一助になると考えられる。3.運動効果出現時期の特定、ヨガの継続回数と効果については、1回のヨガ運動により開脚度は向上するが、2回目開始前には多少の減少が認められており、8~9回の継続実施はより効果が大きいことが明らかになった。また、初・経産婦共に、被験者は優位に分娩第2期の所要時間が短いことが明らかになり、遷延分娩による母体の弛緩出血や、児の胎児機能不全のリスクの軽減に寄与すると考えられた。これら身体的効果の可視化による、妊婦の自己効力感を高める取り組みは、妊婦のやる気を導き、妊娠期を主体的に過ごす為、妊婦の快適性への一助となり得ると考えられた。4.成果発表を論文やヨガ雑誌に公表し、ヨガ指導者と共有した。柔軟性の計測器は今後も改良を続けていきたい。
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