研究課題/領域番号 |
26463423
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
渡邊 香織 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (30281273)
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研究分担者 |
渡辺 完児 武庫川女子大学, スポーツ健康科学部, 教授 (00269854)
古川 洋子 滋賀県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00405234)
小野 玲 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (50346243)
本岡 夏子 滋賀県立大学, 公私立大学の部局等, 助手 (70732296)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歩行分析 / 腰痛 / 周産期 |
研究実績の概要 |
【目的】今年度は、妊婦の歩容指標による歩行分析と身体活動量を測定し、実証的データとして提示することを目的とした。縦断的に産褥期までを測定中であり、今回は妊娠中期における結果を報告する。 【対象と方法】対象は正常経過の妊娠中期(19~25週)の妊婦23名(平均年齢32.3±4.6歳)である。測定項目は、ライフコーダを1週間装着し測定した身体活動量(歩数、運動強度)、3軸加速度計および角速度計を内蔵した小型ハイブリッドセンサ(Micro Stone社製,MVP-RF-8,サンプリング周波数:200Hz,検出加速度範囲:60m/sec2)による歩容の計測、Roland-Morris Disability Questionnaire (RDQ)日本語版とVisual Analogue Scale(VAS)による腰痛の程度の測定、Edinburgh Postnatal Depression Scale(EPDS)、自律神経活動(心拍変動解析システム Inner Balance Scanner)の測定によるLH/HF比から分析したストレス反応とした。 【結果と考察】測定時に腰痛を有する妊婦は11名(47.8%)であった。妊娠中期の平均体重増加量は4.7±2.6、平均歩数は6679.4±3194.1であり同年代の女性(6919歩)とほぼ同じ程度であった。RDQ得点の平均値は2.4±3.8であり、同年代の女性(0.9±2.1)よりも高い傾向が認められ、妊娠により腰痛が出現・強くなっていることが推察された。腰痛の程度と歩容の相関では、VAS値と前後方向の動揺性にsr=-.432(p<0.01)の有意な負の相関を示し、RDQ得点と歩容に有意な相関は認めなかった。腰痛の程度とストレスとの関連では、VAS値、RDQ得点とEPDS得点、LF/HF比に有意な相関を認めなかった。また、身体活動量と歩容の相関では、3Mets以上の運動強度の活動時間と歩容の側方方向の滑らかさにsr=-.429(p<0.01)の有意な負の相関を示した。歩数と腰痛の程度、歩容との関連は認めなかった。これらのことから、腰痛と歩容、歩容と身体活動強度に関連性があることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年10月までの縦断的調査の対象者数の目標設定は30例である。3月の時点での対象者数は24例であり、現在も継続してデータ収集を行っている。腰痛と歩行分析、および身体活動量の分析により、これらの関連性が示唆されており、対象者数を増加させることでさらなる分析結果が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
さらに対象者数を増加するために、平成27年4月から施設を追加してデータ収集を行っている。新規施設での分娩件数は600~700件で有り、対象者数の増加が期待できる。これらに伴い、妊婦の測定を実施するために研究補助員の増加が必要となり、謝礼などで対応する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表に罹る旅費が千葉県と近畿圏内であったため、予定よりも費用の支出が抑制できた。 施設が1施設であり、歩行動作データ収集・分析のノートパソコンの購入が1台でまかなえた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者者が2名増加したこと、施設数が増加することから、データ収集のための移動費用を含め、学会等への旅費が必要となる。 施設数が増加することから、歩行動作データ収集用のノートパソコンの購入が必要となる。
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