• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

明治期における産婆の実技(わざ)と職業的確立の周辺

研究課題

研究課題/領域番号 26463424
研究機関神戸市看護大学

研究代表者

高田 昌代  神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (50273793)

研究分担者 藤井 ひろみ  神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (50453147)
嶋澤 恭子  神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (90381920)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード産婆學雑誌 / 明治期 / 専門職 / 産婆養成観
研究実績の概要

明治32年に「産婆規則」が発布され、翌33(1900)年に産科医の楠田謙蔵氏が日本産婆學教会は設立した。日本産婆學協会は、社会に対して産婆の業務が重要であることを示し、世の人々に注意喚起し、他方でこの業務に携わる産婆に対して卒後の実地研究の機会を与え、その進歩を図りたいという目的で「産婆學雑誌」を発行した。入手できた原本の13号から24号を中心に、助産師で現代訳を進めてきた。
2015年度は、①すべての現代訳を終え、その当時の産婆の知識・技術(わざ)を「母乳哺育」「尿検査」「多胎妊娠と分娩」「産後の出血」「産褥熱」「取り扱った薬物」の側面から明らかにした。これらを検討するにあたって、「産婆學雑誌」1号から12号の内容、当時使用されていたテキストや専門書、産婆試験も参考に勧めた。②産婆学雑誌シリーズがどのように発行されたかの全体像を把握し、それによって、主に楠田謙蔵氏が、産婆に対してどのような養成観を持って教育に当たったか、さらに、産婆学雑誌シリーズ全体から見える「楠田謙蔵氏の産婆養成ポリシーのあり方」についてを明らかにした。これについては、1号~64号までの内容についても概観した。
明治期日本の産婆がお産の最前線で、西洋医学が急速に発達した知識を増やし、実技(わざ)を習得・伝承していた。その際、「妊産婦の命を落とすことがあれば本人のみならず家族の不幸であることや、消毒を怠ることで産褥熱を発症するようなことがあれば「恥辱」と思うようになど、専門職としての産婆の行いを尊重しつつ、楠田謙蔵氏の願う、妊産婦・新生児の健康の安泰という目標に、産婆と医師が共に向かっていた姿が想像された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初は、「産婆學雑誌」13号から24号を中心に分析をする予定であったが、それ以前、それ以降の「産婆學雑誌」の入手によって、全体が概観できるようになった。

今後の研究の推進方策

今後の推進方策は、研究計画通り、①「産婆學雑誌」13号から24号の現代訳を古文の専門家による推敲をうけ、当時の産婆の知識や実技(わざ)を誰でもが読めるような教材作成を行う。②明治期日本の「産婆養成草創期における」「産婆養成の二大潮流」と現代の助産学へのつながりの分析をおこなう。「産婆學雑誌」は24号以降、1号だけ「助産學雑誌」と名称変更している。その後また「産婆學雑誌」に切り替わっている。このことから、名称と共にその役割についても検討する。③他の研究者とのディスカッションの場を設け、これまでの研究結果を精査していく。

次年度使用額が生じた理由

当該年度に、「産婆學雑誌」の13号から24号の現代訳を終了したが、の古文の専門家による推敲を依頼し、より確実な「産婆學雑誌:現代訳」を遺していく。

次年度使用額の使用計画

シンポジウム開催時に「産婆學雑誌:現代訳」を印刷し、多くの研究者とのディスカッションに備える。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] 産婆學雑誌」にみる明治時代の産婆に必要とされた多胎管理2016

    • 著者名/発表者名
      谷口真紀、高田昌代
    • 学会等名
      日本双生児研究学会
    • 発表場所
      和光市
    • 年月日
      2016-01-23 – 2016-01-23
  • [学会発表] 「産婆學雑誌」にみる産婆に必要とされた尿検査の知識2015

    • 著者名/発表者名
      小笠原百恵,藤井ひろみ,嶋澤恭子,高田昌代,有本梨花,奥山葉子,平田恭子,宮下ルリ子,谷口真紀,山名華代,吉川惠理,駒井江里,金川景子,梅田美穂,細川由美子,吉岡恵梨
    • 学会等名
      第56回日本母性衛生学会学術集会
    • 発表場所
      岩手
    • 年月日
      2015-10-16 – 2015-10-17
  • [学会発表] 産婆學雑誌にみる楠田謙蔵氏の産婆に対する教育理念の分析2015

    • 著者名/発表者名
      高田昌代,嶋澤恭子,藤井ひろみ,奥山葉子,有本梨花,平田恭子,宮下ルリ子,小笠原百恵,谷口真紀,吉川惠理,駒井江里,山名華代,細川由美子,金川景子,梅田美穂,吉岡恵梨
    • 学会等名
      第56回日本母性衛生学会学術集会
    • 発表場所
      岩手
    • 年月日
      2015-10-16 – 2015-10-17
  • [学会発表] 「産婆學雑誌」から紐解く明治期における新生児の栄養の考え方について2015

    • 著者名/発表者名
      駒井江里,嶋澤恭子,藤井ひろみ,奥山葉子,有本梨花,平田恭子,宮下ルリ子,高田昌代,小笠原百恵,谷口真紀,金川景子,吉川惠理,山名華代,梅田美穂,細川由美子,吉岡恵梨
    • 学会等名
      第56回日本母性衛生学会学術集会
    • 発表場所
      岩手
    • 年月日
      2015-10-16 – 2015-10-17
  • [学会発表] 産婆規則後の明治期の産婆に必要とされた胎位・胎勢異常分娩に関する知識と技能2015

    • 著者名/発表者名
      吉川惠理,高田昌代
    • 学会等名
      日本看護歴史学会第29回学術集会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2015-08-20 – 2015-08-21

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi