研究課題/領域番号 |
26463429
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
小林 京子 聖路加国際大学, 看護学部, 准教授 (30437446)
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研究分担者 |
山口 悦子(中上悦子) 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60369684)
法橋 尚宏 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60251229)
田村 敦子 自治医科大学, 看護学部, 講師 (70724996)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 小児がん / サバイバーシップ / 長期フォローアップ / 看護師 / 家族 |
研究実績の概要 |
本研究は,長期フォローアップにおける看護の役割を確立することを目的とした看護師向けの教育プログラム開発および,家族マネジメントを促進する看護支援の構築を目的とする.今年度は小児がん経験者と家族への長期フォローアップケア提供モデルの検討と経験者と家族の小児がんサバイバーシップ経験とサバイバーシップにおけるそれぞれの役割の検討を行った. 長期フォローアップケアの提供モデルの検討は,文献検討から行った.小児がんの長期フォローアップケアでのトータルケア確立を目指し身体,心理社会的な晩期合併症へのケアを包括的に検討した.長期フォローアップケアにおける看護師の役割は「的確なアセスメンによる小児がん経験者の将来に渡ってのリスクの同定」「長期フォローアップ計画の立案」「症状マネジメント」「コーディネーション」「教育的支援」「カウンセリング」「制度・社会保障・公的資源の導入」「調査・研究を含めたケア評価」であった.また,小児がんの上級実践看護制度が確立していないわが国での専門的なサバイバーシップケア提供の課題が明らかになった.検討の結果は,全国の血液腫瘍専門外来の看護師を対象とした長期フォローアップケアに関する実態調査の質問項目として抽出した.来年度質問紙調査を行う. 経験者と家族の小児がんサバイバーシップ経験とサバイバーシップにおけるそれぞれの役割の検討ではメタ統合を行った.サバイバーシップでの両親の役割が多く抽出され,それらは両親が経験者に対する多岐に渡る支援役割で,両親の役割と経験者やきょうだいの役割は相互作用していた.また,サバイバーシップでの経験者と家族の役割は小児がん治療当時の経験の影響を受けており,サバイバーシップケアおけるそれらへの理解の重要性も示唆された.この検討の結果を基にインタビューガイドを作成し,来年度の経験者と家族を対象にしたインタビュー調査に発展させる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全国の血液腫瘍専門外来の看護師を対象とした長期フォローアップケアに関する実態調査の質問紙調査と小児がん経験者と家族を対象にサバイバーシップの経験に関するパイロットインタビューを達成目標としたが,実態調査項目に実際の看護の展開についても入れ込む必要がある.インタビュー調査に経験者と家族の経験に加えてサバイバーシップにおける役割を質問紙を追加することとし,それに伴ってやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の結果に基づいて抽出した質問項目を用いて全国の血液腫瘍専門外来の看護師を対象とした長期フォローアップケアに関する実態調査を行うとともに,小児がん経験者と家族への調査を実施する.その後,教育プログラムの試案を作成する.試案については実践家との意見交換の機会を持ち,修正を加える.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施する予定の看護師を対象にした実態調査と小児がん経験者と家族を対象とした調査への調査内容追加に伴い,これらの調査を来年度に実施することとしたため,次年度に繰り越している.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に看護師対象の実態調査と小児がん経験者と家族を対象とした調査のための物品の購入,質問紙郵送費,データ整理補助員の人件費に使用する予定である.
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