本研究では,多目的出生コホート研究 Hamamatsu Birth Cohort Study にエントリーした妊婦のBMI,ならびに,妊娠期間中の体重増加量を説明変数とし,0~4歳までに採取された,児の身体発育(体重,身長,頭囲)状態と発達(粗大運動・微細運動・視覚受容・受容言語・表出言語)の5つの発達指標値との関連を検討した。 前年度までに、出生時に不均衡に頭部のサイズが大きい群は,それ以外の群と比較して,24ヶ月と32ヶ月の粗大運動,受容・表出言語の発達が有意に遅れることがわかった。また、これらの2つの群の頭囲と体重の大きさを比較すると、頭囲では差がないが、体重は前群の方が有意に小さいことがわかった。このため、胎児期の体重増加が幼児期の初期の発達に影響があることが示唆された。 今年度は、両群の母親の妊娠前と出産直前のそれぞれの体重、身長、BMIや、妊娠前と出産直前の体重、身長、BMIの増加量との関連について分析を行った。その結果、前群の出産直前の母親のBMI値は後群の母親より有意に小さいことが明らかになった。また、重回帰分析により、「子どもの出生体重」を目的変数とし、母親の「身長、妊娠前と出産直前の体重、BMI値、体重またはBMI値の増加量、喫煙の有無、出生時の年齢」と、児の「妊娠期間、性別」を組み合わせて説明変数にし、子どもの出生体重に影響を与える因子の検討を行った。その結果、妊娠期間、児の性別、妊娠中の喫煙は有意に影響があったが、それ以外は組み合わせにより影響度が変化してしまうことがわかった。 新たにM市の平成24年4月~平成25年12月生の4・9か月児健診受診者で、粗大運動の遅れで個別指導を受けた群(28名)とそれ以外の群(1499名)で妊娠・出産時の状態の比較調査も行った。その結果、前群は後群より出生体重が少ない傾向にあることが分かった。
|