成人移行期にある先天性心疾患患者の「疾患に関する自己開示のプロセス」と「自立に対する思いと行動」の関連、それらに影響する要因を明らかにし、社会生活における自立支援プログラムを構築することを目的に、2016年3月~4月にインタビュー調査を行った。12歳から19歳までの先天性心疾患患者14名の協力が得られた。昨年度から継続し、インタビュー内容の分析を質的機能的な方法を用いて行った。 ①現在および将来の生活や自立に対する思いと行動、②必要と考えるソーシャルサポート、③疾患に関する自己開示のプロセス、これら研究テーマに関連した研究協力者の考え方や出来事について述べられている文脈を抽出した。その後、各文脈において述べられている中心的な意味を明らかになるよう要約し、コードとした。すべてのコードを対象に統合、比較検討を行いサブカテゴリーを抽出し、さらにサブカテゴリーの統合、比較検討を繰り返し、カテゴリーを抽出した。さらに、カテゴリー間の関連性を検討し、コア・カテゴリーを抽出した。発達段階ごとに分析し、学童期および中学生では6つ、高校生では9つ、青年期では11のコアカテゴリーが抽出された。学童期では、躊躇することなく開示していた疾患に関する内容は、中学生・高校生においては積極的に開示することはなくなり、青年期では対象を選択し、関係性を考慮して内容や開示方法を変えるようになっていた。また、中学生・高校生では、活動範囲の変化や進路選択など伴い、自分の病気と今後の生活をより具体的に考えるようになっており、社会生活の自立をサポートするための介入がより重要な時期になってくることが秋からになった。 研究計画の段階では、インタビュー結果をもとに質問紙調査を行い、プログラムを作成することを計画していたが、インタビュー結果の分析に時間を要したことと、研究者の体調不良も重なり、インタビュー結果の分析までとなった。
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