研究課題/領域番号 |
26463447
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
服部 由佳 三重大学, 医学部, 助教 (30705405)
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研究分担者 |
磯和 勅子 三重大学, 医学部, 教授 (30336713)
平松 万由子 三重大学, 医学部, 准教授 (50402681)
北川 亜希子 三重大学, 医学部, 助教 (20422876)
川口 淳 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50224746)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 防災対策 / 支援体制 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、認知症高齢者に焦点を絞り、災害看護および高齢者看護の視点から教育支援し、大学・行政・地域が連携することで過疎・高齢地域における防災力強化を目指した支援体制を構築することである。 平成26年度は本研究の準備期間として、高齢化率が45%を超え、大規模地震の発生に伴う大津波が危惧されている三重県南部地域において、災害時要援護者とその支援者となりうる地域住民に対する実態調査を実施した。またその結果に基づき、地域住民を対象に、認知症高齢者への災害時支援策を検討するワークショップを実施した。災害時要援護者調査では、防災意識、避難準備状況、避難行動、健康上の課題を明らかにした。さらに、特定高齢者選定のための基本チェックリスト(厚労省,特定高齢者把握事業)の3項目を用いて、軽度認知障害(MCI)の可能性の高い高齢者をスクリーニングし、認知症高齢者を把握した。その結果、対象の半数以上がMCIに相当し、これら災害時要援護者には、発災時から避難生活環境下において計り知れない被害の可能性があることがわかった。一方、災害時支援者となりうる地域住民には、認知症に関する知識、災害時の認知症者の被害に関する知識、災害時支援に関する関心と必要性の認識、支援への自信などを調査した。その結果、災害時の認知症高齢者への支援には課題があることがわかった。これらの結果を受け、地域の実情に合った災害時の支援策が検討できるよう、認知症高齢者の特性や災害時における支援方法について教育しワークショップを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度計画は、1)認知症高齢者に関する実態調査、2)防災対策の主な推進者となる人材の調査であった。今年度1)はおおむね順調に進展しており、2)の人材調査に関しては、モデル地域を管轄する行政と本研究体制は整っており、人材の推薦は可能である。さらに、地域支援者の選出を医療職の有資格者、包括支援センター職員、防災対策課職員、自治会や自主防災組織構成員、認知症高齢者家族より手挙げ方式で来年度以降に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
行政と連携を図りながら地域支援者を選定した後、認知症看護、災害看護に関する専門家による講演会を実施し、認知症高齢者の支援内容の理解を図る。教育内容は、今年度に実施した実態調査から得られた防災対策の課題を生かす。さらに、大学、行政、地域支援者と協同して地域の災害時支援マニュアルに認知症高齢者の支援方法を組み込む。新たに作成されたマニュアルに従って、避難訓練、避難所運営訓練を実施し評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会参加と被災地訪問を取りやめたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、研究成果報告を海外で行う予定であり、そのための旅費、英文校閲も必要となる。また、現地での打ち合わせにかかる旅費、現地活動の状況を撮影し教育内容に役立てていくためのビデオカメラ、プロジェクターも購入予定である。さらに講演者への謝金も使用する予定である。
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