研究課題/領域番号 |
26463448
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
陶山 啓子 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (50214713)
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研究分担者 |
田中 久美子 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (00342296)
中村 五月 (形上五月) 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 講師 (40549317)
小岡 亜希子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50444758)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 排泄行動 / 潜在能力 |
研究実績の概要 |
認知症高齢者が自ら排泄意に対処しようとする行動の実態を明らかにするとともに、排泄行動と膀胱機能・排泄状態の関連を明らかにすることを目的とした。 まず、認知症高齢者の排泄行動の実態を明らかにする目的で、認知症治療病棟に入院中の高齢者を対象に調査した。対象者は71名で、排泄誘導が必要な者は46名(64.8%)で、尿失禁がある者は53名(74.6%)、便失禁がある者は39名(54.9%)であった。認知機能の低下に伴う排泄行動がある者は38名(53.5%)であり、最も多くみられたのは「転倒リスクがあるがトイレに自分で行こうとする」で22名(31%)、次いで「排泄援助拒否」が19名(26.8%)であった。認知機能の低下に伴う排泄行動のうち「弄便」、「トイレ以外での排泄」、「オムツ外し」、「排泄援助拒否」につては、認知機能低下の影響が強いことが明らかとなった。 実態調査で明らかになった排泄行動として、「排泄行動を自発的行うことによって転倒のリスクがある」に限定し調査した。特別養護老人ホーム入所中の5名の認知症高齢者を対象に、排尿日誌による排泄状態および、排泄行動をとる際の言動や援助内容に関するデータを収集した。その結果、対象者の排泄行動を起こすタイミングと実際の排尿は一致しており、日中は介護者が問いかけや気づきによって、排尿誘導されていた。失禁が全くない者も3名おり、尿意の感覚は確かであることが推察された。夜間はセンサーマットを使用して対応されており、3~4回程度の排尿が認められた。100ml以上の残尿がある者は1名で、他4名の膀胱機能は保たれているが、夜間多尿のために頻尿が生じていた。 以上の研究結果から、認知症高齢者の排泄行動はほぼ確実な尿意によって生じており、適切な支援によってトイレでの排泄が可能であるが、マンパワーが少ない夜間に生じる多尿による頻尿に対する対応の必要性が示唆された。
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