研究課題/領域番号 |
26463449
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中村 五月 (形上五月) 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40549317)
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研究分担者 |
陶山 啓子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50214713)
田中 久美子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00342296)
小岡 亜希子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50444758)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 排尿誘導法 / 尿意 / 施設入所高齢者 / 尿失禁 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高齢者施設での排尿誘導法を効果的に実践するためのプロトコールを作成することである。援助される高齢者の立場に立った排尿誘導の目的を明確に示し、援助者が情報や確認の見逃しをしない手順を作成するという意図がある。 施設入所高齢者は、認知症やADLの障害などによる尿失禁(以下、機能性尿失禁とする)・おむつの使用は高率であるが、排尿誘導により改善が可能と言われている。高齢者施設では様々な背景から排尿誘導方法を変更することは容易ではないが、施設で決めた一定の時間間隔で行う「定時誘導」ではなく、可能な限り高齢者の排尿のタイミングを考慮した「随時誘導」への変更により尿失禁の改善は期待できると考えた。平成27年度は、機能性尿失禁を有する施設高齢者の排尿誘導方法を決定するための示唆を得るために、排尿誘導法と高齢者の尿意の訴えや生活機能との関連について予備調査を行った。随時が実施されていた者は定時誘導が実施されていた者に比べ、ADL、意欲、尿意を訴える者の割合が有意に高かったという結果を得た。定時誘導から随時誘導への変更時は、ADLや意欲の評価を行い、高齢者の潜在能力を評価する必要性が示された。特に、援助者の尿意の確認に対して尿意を訴えられる高齢者は、随時誘導への変更の可能性が示された。プロトコールの実施の際は、この結果を参考に実施を検討する必要があると考える。 平成27年度の予備調査や平成26年度に行った膀胱機能評価についての文献検討の結果、米国の排尿誘導プログラム、そして、尿意確認に基づいた排尿援助方法(形上ら,2011)を基盤とし、高齢者施設で根拠に基づいた排尿誘導法を実施するためのプロトコールを作成した。平成28年度は、プロトコールの実施評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、高齢者施設で効果的に排尿誘導を実施するためのプロトコールの作成を行った。高齢者の排泄ケアは身体状態・精神・心理状態、環境などが相互に影響し合うことから、個別性も高い。そのため、作成したプロトコールが高齢者施設で活用可能かどうか、ケースをさらに蓄積し、プロトコールの実施評価や信頼性・妥当性を引き続き検証する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、研究者が高齢者施設で平成27年度に作成した「高齢者施設で排尿誘導を効果的に実践するためのプロトコール」の実施評価を行い、プロトコールの信頼性・妥当性を高めることを目的に研究を進める予定である。プロトコールの作成や実施評価においては、対象施設や対象者の協力が必要不可欠であるため、対象への倫理的配慮には十分に留意し研究を遂行したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
高齢者施設で排尿誘導を効果的に実践するためのプロトコールを作成するために、排尿誘導方法(定時誘導・随時誘導)を決定するための要因を明らかにする必要があった。そのため、平成27年度に予定していた、プロトコールの実施評価を平成28年度に行う必要がある。高齢者施設での調査が必要であり、研究協力者への旅費や人件費は平成28年度に使用するよう変更が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、高齢者施設で排尿誘導を効果的に実践するためのプロトコールの実施評価を行い、信頼性・妥当性を検証する予定である。調査のための人件費、旅費、物品購入費に計上する。
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