研究課題/領域番号 |
26463451
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
佐藤 和子 大分大学, 医学部, 客員研究員 (00196221)
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研究分担者 |
兼板 佳孝 大分大学, 医学部, 教授 (40366571)
吉良 いずみ 大分大学, 医学部, 講師 (70508861)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 下部尿路障害 / 尿失禁 / 残尿量 / 睡眠覚醒パターン / 排尿リハビリテーション |
研究実績の概要 |
【目的】骨盤底筋群に効果がある項目の検証をふまえ、アセスメントプログラムを標準化する。 【対象】回復期病棟入院中の高齢者および介護老人保健施設(以下,老健施設)入所中の高齢者で、尿失禁がある対象者各30名。 【方法】排尿日誌の記載とともに膀胱内容量と残尿量を測定し、蓄尿障害、尿排出障害、機能性尿失禁を分析し、残尿が100ml以上の場合は、治療を検討する。それ以外は、下部尿路リハビリテーションプログラムに移行する。 【結果】調査対象機関で平成26年度に始まった泌尿器科医による回診の結果を踏まえ、回復期病棟27名、老健施設17名を対象に、尿失禁者の蓄尿障害、尿排出障害、機能性尿失禁を分析した。残尿量100ml以上の対象者は、両施設とも7~8割を占め、泌尿器科医による薬物療法が処方された。それぞれの排尿障害、ADLを考慮してリハビリテーション・ケアを実施した。その結果、回復期病棟対象者のうち、介入後に排尿状態、トイレ動作の改善がみられたものは16名であった。老健施設の対象者では、症状の改善が見られたものは3名だった。 【考察】両施設とも尿失禁者の多くは、専門医の診断により必要な治療がなされた。そのため、リハビリテーションプログラムの純粋な効果は断定できないが、医学的治療と並行してプログラムを遂行していくことの有効性は推察された。一方、老健施設では、症状の顕著な改善を認めたものは少ないが、ADLを考慮したプログラムの改編の必要性が示唆された。 【結論】泌尿器科医の協力を得てアセスメントプログラムの標準化は概ね達成できた。今後は、害蓄尿障害、尿排出障害および機能性尿失禁のタイプ別リハビリテーションプログラムの洗練化を行い、例数を蓄積し、継続評価することが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象例数の確保や正確なデータの収集の困難性(尿意の曖昧さや正確な排尿直後の残尿量の測定困難等で、データー収集を中断するケースなどのため)およびアセスメントプログラムの標準化に時間を要し、目標数の達成に至らなかった。また、2施設で使用する膀胱容量測定機器の数の不足、故障もデータ収集に影響した。
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今後の研究の推進方策 |
測定機器の充足により、平成27年度に予定していた目標数を確保し、リハビリテーションプログラム実施効果の判定、排尿援助例の夜間失禁の発生率と睡眠パラメーターの比較を行うとともに、平成78年度の目標(プログラムの汎用化を図り、実践者および実施施設の職員の評価を得る)達成のために、精力的に調査に取り組む。現在、調査施設の協力を得てデータの継続収集とともに、プログラムの汎用化のための準備を推進中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は対象者の選定とデータの収集に力を注いだ。膀胱内容量および残尿量の測定のため、過去に購入した2台の機器を2施設で使用していたが、後半、膀胱スキャナの故障などもあり、当初計画よりも消耗品に残額が発生した。また、研究分担者の学会参加の変更もあり残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
残額に関しては、機器の充足、人件費・謝金、国際学会への参加費に使用する。
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備考 |
http;//www.yulinken.jp/
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