血液透析を受ける認知症高齢者の参加観察データに基づいて、標準的看護支援方法を構築するために、平成29年度(期間延長)は最終年度であった。平成27度までに2ヶ所の血液透析室で参加観察を行った認知症高齢者12名の逐後録のデータから、血液透析標準的看護方法を抽出した。 まず、対象者12名全員(昨年までに4名分析)の3~4時間の透析経過中における「言動のリスク度を数量的にみた分析結果」を見ながら、「言動を質的に記述した変化」を抽出して、「透析開始から終了までの経過に沿った看護支援内容」を抽出した。 その後昨年実施できなかった協力者8名(血液透析室勤務の認知症認定看護師2名、透析経験のある大学教員1名、認知症看護を専門領域とする大学教員4名)による検討会で意見交換を行った。多様な視点での疑問、確認、意見を踏まえて、「認知症患者への透析経過に沿った看護支援」を修正した。 平成30年3月28日に、研究者2名と透析看護を専門とする認定看護師1名とで会議を開催し、「認知症患者への透析経過に沿った看護支援」の根拠と実現可能性についての意見交換をした。 最終的には、平成30年4月に「慢性心不全のある認知症看護の研究(大津)」、「がん性疼痛を有するがんの認知症看護の研究(久米)の研究結果と本研究結果の照らし合わせを行い、「身体的急性状況における認知症高齢者の看護としての共通点、各疾患別の特徴を抽出して「認知症患者への透析経過に沿った看護支援」の内容を決定した。
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