老人看護専門看護師の実践内容と文献検討より、認知症看護実践を評価する枠組みとして、「認知機能障害をふまえたアセスメント」等、5つを明らかにした。また急性期病院における認知症看護実践評価尺度が開発されていることをふまえ、地域包括ケア病棟における看護実践の質を評価する項目作成を目指し、認知症看護認定看護師を対象とした面接調査を実施した。 認知症ケア加算2を取得している一般病院で地域包括ケア病棟に勤務経験を有する認知症看護認定看護師9名から協力を得た。面接内容は、地域包括ケア病棟において認知症高齢者へ十分な治療とリハビリテーションを提供するうえで、また日常生活と退院に向けた支援を行うにあたって重要と考え実施している実践について半構成的質問紙によりたずねた。 分析は面接での語りを逐語録に起こし、語られた実践内容を1内容1単位として取り出して、実践の性質に着目してコード化した。それらコードを看護実践の性質に着目して分類し、地域包括ケア病棟における認知症看護実践としてカテゴリー化した。 結果:9名の認知症看護認定看護師の語りから【入院前の生活を把握している】【日常生活行動から認知機能やADLの状態を把握している】などの<アセスメント>領域、【見当識を補い安心できる環境を提供している】【その人の生活リズムで過ごせるようにしている】等からなる<その人らしい生活を支える>実践領域、他<療養とリハビリテーションを支える>、<苦痛の緩和を図る>、<生活や医療への意思決定を支える><尊厳ある最期を支える><家族の介護生活を支える><多職種協働>の8つの実践領域からなる看護実践を取り出した。これら各領域の実践を、<アセスメント>領域の実践で把握した、患者個々の認知機能等に応じて提供することで、個別性の高い看護実践が可能となる。よって、これら看護実践項目は認知症看護の質を評価する指標として活用できる。
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