研究課題/領域番号 |
26463468
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
大浦 紀彦 杏林大学, 医学部, 教授 (40322424)
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研究分担者 |
加賀谷 優 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, がん専門修練医 (90584805)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | CLI / 血流評価 / SPP / StO2 / PI / 創傷評価 / アンギオゾーム / 血行再建術 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、レーザースペックルフローグラフィー(LSFG-ANW)を使用して以下の2つのテーマで研究を行う予定であった。 ①CLI・PADを診断し、どの領域が虚血であるかを客観的に2次元的に評価する。 ②CLIの血行再建の前後でのLSFGの変化から、血行再建によって虚血部位が改善したかどうかを評価する。 足部は、前脛骨動脈、後脛骨動脈、腓骨動脈の3枝で栄養されている。重症下肢虚血においては、3枝すべてが正常血流であることは少なく、3枝のどれかによって偏った血流で栄養されることが多い。たとえば、前脛骨動脈で栄養されている場合には、足背領域の血流が比較的保たれていて足底領域の血流が悪化するといわれる。 CLI疑いがある患者に対して5例LSFGにて評価した。5例とまだ症例数が少ないので、統計学的な検討は不可能であるが、LSFGにて体表面のスペックルフローが減少している場合には、SPPとStO2が低下していることが分かっている。ATA領域が虚血の場合には、足背領域のLSGFが低下傾向を示していた。アンギオゾームの支配領域を可視化するのに有用であると考えられた。しかしSPPとの相関が認められるかどうかについては、症例数が少なく確認できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度にSPP, StO2, Perfusion Index(PI)計測を行った。足趾でのPIの有用性を確認した。平成27年度は透析患者を対象にPIとSPPを測定し創傷の有無についてそれぞれ値が足趾部でのperfusion index(PI)とSPPを計測し、創傷のある群とない群を比較することによって、足部の虚血を評価した。その結果足趾部での潰瘍があればPIが低値であることが明らかになった。平成28年度は、 ①CLI・PADを診断し、どの領域が虚血であるかを客観的に2次元的に評価する。 ②CLIの血行再建の前後でのLSFGの変化から、血行再建によって虚血部位が改善したかどうかを評価する。 の2つの研究を行う予定であった。 画像解析装置を用いてPI値が透析患者の足趾潰瘍の予測指標となるかどうかを、画像とPI値を合わせて前向きに検討する予定であったが、画像解析装置の納入が遅れたため、解析の開始も遅延してしまった。①は5例終了しており今後、症例を重ねる。②に関しては、ソフトウエアの整備ができしだい研究を開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
CLIの治療では、血行再建術を行い血流が増加した領域が拡大することと、血流増加によって虚血だった組織が灌流されることが重要である。現在これを体表から観察し評価する方法がない。LSFGは、血行再建の前後で観察することによって、血行再建が虚血部位に到達したか、否かを評価できる。たとえば、足背領域に虚血があり、後脛骨動脈のみ血管が開通しているときに、前脛骨動脈に血管内治療を行っても不成功に終わることがある。その際、腓骨動脈を治療すると足背領域への灌流が増加するか、否かが評価可能である。腓骨動脈を治療しても、血流が虚血部に到達できない場合には、後脛骨動脈か足背動脈へのバイパス術を検討する。このように緻密な治療戦略がLSFGにて行うことが可能になる。 これらの見地から平成29年度は、平成28年度に続いて次の二つを中心に研究を行う。 ①レーザースペックルフローグラフィー(LSFG-ANW)によるCLI患者の2次元血流分布とアンギオゾームの関連を検討する。 ②レーザースペックルフローグラフィー(LSFG-ANW)によるCLIの血行再建の前後での血流評価を行う。 将来的にLFSGをendpointとして血行再建術が可能であるかどうかを検討する。PIのデータと平成28年度のLFSGのデータは、平成30年度の形成外科学会あるいは、日本下肢救済足病学会にて発表公開の予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
画像解析装置の納入が遅れ、解析の開始が遅延したため。
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次年度使用額の使用計画 |
画像解析に必要なソフトウェアの購入や、研究成果発表のための旅費として使用する。
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