研究実績の概要 |
23例のCLI患者と40例の非CLI患者に対して血流評価スクリーニングとして、Skin Perfusion Pressure (SPP), Tissue Oxygen Saturation (StO2), Perfusion Index(PI)計測を行った。SPPは足背と足底と2点を計測し、StO2は、足背5点、足底5点、計10点、PIは、各足趾5点で計測した。SPP(2点計測)とStO2(10点計測)の比較では、StO2の方が感度、特異度が高い傾向にあることが示された。 血管内治療における血行再建は、pedal archまで可能であるが、従来の血流評価方法では、archより末梢の血流評価が困難であったが、足趾PIは、血流が良好な症例では、計測が可能であった。StO2は、非侵襲で疼痛もなく、SPPと比較して感度特異度ともに優れており、今後CLIの中足部までの虚血のスクリーニングに適切であると考えられた。 一方で、前足部のスクリーニングに適した評価方法がなかったが、今回PIが前足部・足趾部CLIのスクリーニングに最適かどうかを、CLIのハイリスク群である透析患者で妥当性を検討した。透析患者114名を対象に、創傷がある群とない群に分けて調査を行った。PIは創傷がある群で有意に低下していた。今回新たに計測することとなったPI値は、ROC曲線での解析では、感度特異度ともに、足趾部の創傷発生との関係性がSPPよりも鋭敏で信頼性が高いことが示された。PI値は、5足趾の平均、5足趾の合計、最低値どれでも評価に用いることは可能であったが、どれかひとつの足趾のみの計測でも足部の虚血の評価が可能であることが示された。そのPIによるカットオフ値は0.3-0.5であった。SPP値がほぼ正常値となっているような比較的軽症なCLI、PAD患者のスクリーニング機器として、SPPよりも有効であると考えられた。
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